大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 心の旅路

出雲 かかか

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私:先程はNHKBSで新日本風土記「松本清張・昭和の旅」をやっていた。テーマは小説「砂の器」。出雲方言が主人公と言ってもよい。
君:なるほど、そこで「かかか」なのね。
私:番組に出雲弁保存会・渡辺二郎氏が出ておられた。彼の出題なさったクイズが、「かか、か・かかーか?かかー!」というもの。テレビでは「かか。か。かかーか。かかー。」となっていたが僭越ながら書き直させていただいた。
君:意味は?
私:女性の前に一台の電話があってそれをお借りしたい、という場面の設定だ。「おかみさん、これ(電話の事)はかけられますか?ええ、かけられますよ!(気兼ねなくお使いくださいませ)」という会話。
君:なるほど。渡辺様のアクセントは?
私:カ\カ、カ\・カカーカ?カカ\ー!
君:なるほどね。「・」は休拍があるという意味よね。
私:うん。
君:皆様に分かりやすく簡単に説明してね。
私:はいはい。
かか、・・・・「かか母」、つまり「おかみさん、」という呼びかけ
か・・・・・・近称の指示代名詞「これ」の短呼化
かかーか?・・「かかるか?」つまり「電話は使用可能の状態ですか」
かかー!・・・「かけられます」の非敬語的言い方
君:なるほどね。一種の方言のお遊びで、実際には有り得ない会話ね。
私:言葉遊びでよく引き合いに出されるのが、月々に月見る月は多けれど、月見る月はこの月の月だな。
君:ええ、小学生でも理解できるわね。
私:これは何月の月かわかるかい。
君:長月、九月よね。中秋の名月。
私:違う。八月だ。
君:えっ、どうして?
私:月の文字が八回、出ているから。
君:なるほど、一本とられたわ。
私:小説「砂の器」に戻ろう。東北と出雲に同じ方言・アクセントが残るのは方言周圏論で何となく理解できるよね。
君:語彙の全国分布に引き合いに出されるのが方言周圏論だけれど、アクセントもそうね。東京式外輪アクセントが古代のアクセントで、そこへ平安に京都アクセントがドカンと出現して、東京式アクセント地方を分断したのよね。
私:そんなところだろう。続いては映画「砂の器」の話にしよう。
君:観たの?
私:ああ見たとも。青春時代、名大祭で。実行委員会が豊田講堂で上演した。46年前。
君:感想を一言でお願いね。
私:小説と映画は違うという事。映画「砂の器」の見どころは三十分近い主人公親子の全国放浪シーン。小説にはほとんど記載が無い。松本清張の小説は全て読んだし、映画化されたものは全て観た。
君:なるほどね。小説も読み、映画も観るべきね。
私:そういう事。
君:島根県への旅は?
私:ちょくちょく。オートバイでも。神話の国だから旅行好きにはたまらない県だ。
君:「かか」さんとね?
私:うん。ただしオートバイの旅行は僕だけだ。目指せ神戸、後は中国道だな。蛇足ながら飛騨方言では、おかみさんは「かが」で鼻濁音なし。
君:加賀の画家のおかみさん。出雲方言は「かがのがかのかか」になるのね。ほほほ

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