一時はめでたく解決されたものと思われた我田の大岩伝説
しかし、調査を続けるうちにその伝説には続きがあることを突き止めた
管理人ノエルの骨までしゃぶり尽くすような徹底調査が始まる!

この伝説の核心に迫るためには、
まずは、元ネタである我田の大岩の(伝説)昔話を読んで欲しい。

むかしむかし、久々利の我田から御嵩へ行く道があったがのう。峠を少し下ったところに落武者が隠れ住んでおったという洞があってな、そこには大きな木が茂って、昼でも暗いほどあってな、ひんやりとした湿った冷たい風がいつも吹いておって、髪の毛がとうっと逆立つようで、誰もどうにもその洞には入っていけなんだそうや。そのうえ、この洞のあたりには、白蛇がうじょうじょとおったんやと。旅の人もこの道は通らなならんしヘビはおそがいしでそりゃあなんぎしたのやと。ある日、ホコリにまみれてやって来た一人の旅人が峠の大岩まで来るとどっかと腰を下ろした。
「あーあ、気の重い仕事やがうまくいくやろうかな。この道もここを過ぎると何やらおそがい所があるげなし。」といいながら弁当を取り出した。そして、竹筒の水を飲んだり、ごそごそやって手を伸ばすと弁当が無い。つい今さっきに置いたばかりのにぎり飯が消えてしまったのじゃ。「さてはこの岩が喰ったか」と腹立ち紛れに叩いてみたが、自分の手が痛いだけや。「ええい、こうなったらさっさと行くか」と荒々しい足取りで目的地へと峠を下っていったのや。幸い何のことも無く目当ての家に着いたがその家では、待っていたかのようにもてはやされた。それに仕事も思いがけなくうまくまとまり、大喜びしたげなわ。けれど、どう考えても不思議なことは、ようけのヘビがおってまったくおそがい所やと聞かされとった峠道をあんなに楽々と越えることができたことや。そのことが皆に伝わって「我田の大岩にお弁当をあげると、仕事がうまくいくよ。」「あそこにお供え物をするとヘビになんぎせんよ。」「そうやそうや。あの我田の大岩は願い事が叶う岩やぞ。」とけっこうな噂が立ってそれをたよりに出かけて行く人も多かったそうや。なんでも岩に向き合って願い事をしているうちにお供えした物がのうなっていたら、その願い事は叶えて貰えるのやと。そうやもんで、なんぞごとあると、「ちょっと大岩まで行って来るぞ。」と九盆にお洗米を入れて、風呂敷に包むと我田の大岩へと行くのや。そうやが、ちょっと横を向いとるうちに、お供えものがのうなるなんてどう考えても不思議やなぁ、それにうじょうじょとおったヘビの姿がばったりと見えなくなって旅が楽になったのも不思議や。昔からヘビは神様のお使いをするって言うがやっぱりそうかのう。まぁ色々なお願いを叶えて下さる大岩なら私もちょっと行ってこようかしらん。いっぱお願いしたいことがあるで・・・

(著:可児町民話の会「可児の昔話」出版:可児町教育委員会1980年)

読書お疲れ様でした。お分かりになるようにこの伝説にはもう一つの登場名称があったのだ。そう、落武者がいたという気味の悪い洞だ。洞とは一体何かというと、@岸や大きな岩・大木などの中が空ろな穴A谷(広辞苑より)大岩の存在がノエルにより確かめられたということはその洞穴も存在しないわけが無い。周知の通り、昔話と伝説は違い、伝説は実話&人々の信仰があり具体的な地名や名称がはっきりしている。この我田の大岩の話は昔話の特徴である「むかしむかし」という語り口で始まってこそいるが、上記に記した条件を満たしているので伝説といっても間違いない。洞穴は実在すると確信したノエルはさっそく裏付け調査に乗り出す。
洞穴に関してこの元ネタで分かる手掛かりは@峠を少し下った所A大きな木が茂って昼でも暗いB湿った風がいつも吹いており、髪の毛がどうっと逆立つC周辺には白ヘビがうじょうじょ。以上である。一番手っ取り早い方法は峠道に沿って探すことだ。しかし、生憎ノエルは峠道を知らない。現在でこそ御嵩町古屋敷南〜可児我田を結んでいる舗装道路はあるが、これが昔の峠であるとは限らない。今回は下から攻めてみようと思い、早速久々利のバス停「我田」近くに車を停めて近くにいたお婆ちゃんに聞いてみた。お婆ちゃんから色々な情報を得ることに!
幸いお婆ちゃんはここの育ちで小さい頃はよく岩に登って遊んだそうな。この岩周辺は可児有数の松茸山で毎日のように松茸を食べ付近の人々にも分け与えていたそうだ。で、伝説について聞いてみるとやはり小さい時にそのような話はあったそうな。だとしたら話は早い。伝説の洞穴について尋ねてみる。すると「そんなんはぁ伝説にないよ」と。お婆ちゃんの知っている伝説には洞穴は登場しないようだ。では、峠周辺の洞穴の存在はどうだろうか?聞いてみるがそのような洞穴も無いよ。と。近くで農作業をしていたおじさんも話しに加わる。彼も知らないと。
お婆ちゃん曰く「その洞穴に関しては作り話ではないか」と。ノエルもビックリ大誤算。昔から住んでいる地元の方すらその存在を知らず、作り話説まで登場してしまった。やはり自分で探すしかないのだろうか?せめて峠道を教えてもらおう。ということで、お婆さんに聞いてみる。お婆さんは親切に教えてくれた。そして「まぁちょっと詳しい人おったら調べておくで、また寄ってね」とノエルに全面協力の意を伝えた。お婆ちゃんから教えてもらった峠道を洞穴を探しながら進む(2枚目)進む(3枚目)どんどん進む・・・('A`) (4枚目)そして・・・
・・・(゚Д゚)ポカーン。完全に道無いよ。だけど、今まで一本道だったんだよワトソン君。僕らが道を間違えるはずないさ。そしてこの道なき道の先にはきっと伝説の洞穴が僕達を待っているのだよ。
そりゃぁ地元の人も知らなかったんだよ。このくらいの密林の中じゃないと見つからないわけだよワトソン君。
パトラッシュ・・・僕なんだか眠くなってきちゃったぁ。ほら見てごらん、体がこんなに傷だらけだよ。靴にもたくさん土が入ってきちゃったよ。もうこのままお家へ帰れないのかな?(何故かバラの木があり引っかかり腕に傷を追いまくる。)
首にも傷ができたか知らんがやたらカユイ。その時・・・ほらぁあそこに楽園、いや、天国が見えるよ〜
いや、天国じゃない。僕らは密林雑草ゾーンをかき分け新集落を発見したのだ。あそこに伝説の洞穴もある。僕らは見事伝説の洞穴の裏づけに成功したんだよ。下の方に鎧?のような物を頭に付けた人がいる。落武者は今でも住んでいるのだろうか?落武者は興味深そうにこちらを見ている。足元に気をつけて降りて行く。
ここが落武者が住んでいると思われる洞穴である。すかさず落武者が寄ってきてボロボロになったノエルを見ながら「あんたどこから来たん?どこ行きたいんや?ヘルメットかぶっとらんと公団さん来たら怒られるから早よ出て行ってよ」と疲れ果てたノエルに言い放った。僕は「あ、すみません。ちょっと探し物してまして・・・一応写真だけ撮らせてください」といい伝説の洞穴の写真を撮って満足げに帰っていったとさ。めでたしめでたし・・・となるはずもなく車までの帰り道は長く疲れた。車の近くにいた農作業のおじさんに「見つからんかったやろ(笑)」と言われ「ええ、また調査に来ますよ」と言い残しノエルはリベンジを心に誓い帰路に着いた。

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