終助詞・ぜ、は共通語では男性格を示しますが、飛騨方言においても実は限定的に使用することがある事を
別稿、飛騨方言における終助詞・ぞ、と共通語終助詞・ぜ、の接続に関する比較検討、に記載しています。
更には、男性は、終助詞・ぜなを使用する事がある事を別稿、飛騨方言における三系統(ぞ、ぞえな・ぞな・ぜな、えな)の終助詞の文法比較、に記載しています。
本稿では、さて、男性が、終助詞・ぜ、と終助詞・ぜな、を用いる場合にはどのような接続則の差ができるのか
と言う事についての表をお示しします。これは勿論、上記の二つの別稿から演繹される事ですので、
飛騨方言の達人にとっては何をかいわんやですが、普段なにげなしに飛騨方言をお話しの方でも、
ふうん、そうかあ、と思っていただければ幸いです。
ぜ ぜな
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語感 粗忽 柔和
女性が使用できるか 不可 可
方言動詞に接続 可 可
方言動詞以外の動詞に接続 不可 可
方言形容詞に接続 可 可
方言形容詞以外の形容詞に接続 不可 可
方言助詞に接続 可 可
方言助詞以外の助詞に接続 不可 可
「です」指定の助動詞に接続 不可 可
「ます」丁寧の助動詞に接続 不可 可
語中のアクセント ぜ ぜ
感動詞・な、の後続に接続 可 不可
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表の説明ですが、男性が、ぜな、を用いる場合は、国文法との差異は無く、
唯一、国文法との差異は例えば、そうですな、という意味の句の最後の言葉・な、が更に「な」に接続できない、そうですぜなな、と言う事は
不可であるという事です。当たり前といえば当たり前でしょう、このような場合は、
そうですぜなあ、と、ぜな、を長音にすればよいと思います。
ところが終助詞・ぜ、の場合はやっかいです。
方言の動詞、形容詞、および「や、そうや、ようや」の助詞に接続しないと
飛騨方言の言い回しとして不自然であり、また、です・ます、の両助詞に接続すると、
やはり言い回しとして不自然です。
末筆なれど飛騨へ旅行予定の方へワンポイントレッスンです。
まずは、男性も女性も、気軽に、ぜな、を使ってみてください。
まず間違いありませんぜな。