取水について

 水力発電=ダムのイメージが強いですが、河川内に構造物を作る場合、しっかりしたものを作らないと濁流で押し流されたり傾いたりしてしまい後々面倒なため、小規模発電には石積み堰がおススメです。
 河川水量が減り始めると画像のように石を積み取水量を確保→大雨で河川水量が回復し石積堰が流される→河川水量が減り始めればまた石を積むというサイクルです。
 面倒に見えるかもしれませんが、安価で、堰部分が流されるため土砂が溜まりにくく排砂設備が不要です。

 堰以外にも、河川内に枝木避けの柵などを置くと大雨であっという間に流されたり、目詰まりして壁と化してしまうため、ゴミ等も含めて全量取水し、上水槽手前の除塵管でろ過する手法を取っています。

 取水口の位置は上水槽に近いほど取水管が短くて済むため、高低差があって河川敷に上水槽が置ける広いスペースがあり、堰の代わりになるような大きな岩がごろごろしている箇所を探します。
 要するに地形に合わせて総合的に判断します。
石積堰

 取水口は塩ビ管を斜めにカットしたものをボルトで固定したり、ソケットで差し込んだりしています。
 河川水量がある程度多ければ取水口にひっかかった枝木が斜めに押し流される、という仕組みです。
 ただし経験上、連続雨量が100oを超えると、河川底や岸辺の枝木や岩がじゃんじゃん流されて来るため高確率で詰ります。
 濁流には上水槽で沈殿が間に合わないほど砂利を大量に含んでいるため、発電が止まる方がかえって安全かもしれません。

↓また、取水口が詰まると取水管内が空洞になり、河川水量が増えると浮いて流されてしまうため、重量物をくくりつけたり、河川敷に打ち込んだパイプに固定したりしています。
取水口

 さらに、取水量が多いと吸引力が強くなり、取水口に枝木がひっかかりやすくなります。
↓取水量は、取水管の角度を大きくすると増え、水平に近付けるほど減らせます。
取水管

↓取水管の角度が浅いほど、何かの拍子で内部に土砂が詰まってしまうことがあるため、蛇腹のポリエチレン排水管を差し込んで押し流します。
 詰まりがどうにもならなければ、取水管の上側に穴を開けてゴミを取り除き、角度を見直せばいいです。
取水管の詰まり取り

↓点検や整備時に取水を止める用途で、取水管の下部に穴を開け、普段は短い塩ビ管を上下にカットしたもので蓋をしています。
 大口径の弁はとても高価で、比較的安価なバタフライ弁だと枝木も含めて取水する方式だと内部でひっかかります。
 ちなみに蓋は荷締めベルトで固定しています。安価な万能資材のひとつです。
取水管排水口

↓その他、取水管の使用材料ですが、ゴム輪接合片受け直管(排水用)を使用すると内部の段差がほぼ無くなり、おススメです。
 人力ではゴム輪接合後に取り外しが難しいため、試行錯誤中はゴム輪を抜いて組むのも良いです。取水管は水圧がかからないためしっかり差し込めば水漏れはほぼありません。
 ホームセンターで揃う材料で作りたい場合は、ただの直管をソケットで繋いで組みます。
ゴム輪接合片受け直管

↓支持方法は直管に蝶番式または組式立バンドを巻き、一般的な48.6mm単管パイプ、垂木クランプで固定する方法が2020年現在、最も手軽且つ頑丈で安価と思われます。
 このように専用の部品はないため、いろいろ用途外のものを組み合わせて作っていきます。詳細は水圧管路のページで解説予定です。
取水管支持方法