HEAVEN 〜ナースも秘書も萌え所〜



「銀さん、あんた一体、どうするつもりなんですか!?」
「あー? 何が」
さんのことですよ!」
 
が帰ってから。
我に返った新八は、銀時に問い詰めた。
何せ、まともに儲かった例のない万事屋商売。
新八自身の給料もろくに払われていない上に、神楽に至っては給料は酢昆布という、普通ならばありえない状況である。
この状況下、何を考えたならば、新しい人間を雇い入れることなどできるのか。
人を雇うくらいならば自分に給料を払え、と言わんばかりに、新八は銀時に詰め寄った。
しかし銀時は、構わずにジャンプを捲っている。
 
ならわかってくれるだろ。何せ、街の人たちの役に立つ万事屋だし、俺」
「……いつ役に立ったんですか。アンタの存在が」
 
そういえばは恐ろしい誤解をしたままだったと、今になって新八は思い出す。
確かに、多少なりとも万事屋らしい働きをしたこともあったが、依頼が無ければ収入はゼロ。
真っ当な仕事だと、胸を張って言えるような、そんなものとは縁も無く。
それなのには、「人の役に立つなら」と、二つ返事でこの万事屋に就職を決めてしまったのだ。
 
「大体、さんに払う給料はどうするつもりなんですか」
「それなら心配ないネ。新八の給料をに回せばいいだけの話アルヨ」
「神楽。お前、たまにはいいこと言うな」
「さも名案かのように言うなァァァァ!!」
 
ただでさえギリギリの生活、これ以上給料を削られては堪らないと、新八は叫ぶ。
が、すでに『>新八』の図式ができあがっている銀時と神楽には、馬耳東風。
新八の生活より、が万事屋にいてくれることの方が重要なのであろう。
こうして、新八の心からの叫びは、あっさりと却下されることになった。
しかし、それでも一応はフォローするつもりなのか、銀時はジャンプを捲る手を止めて、新八に視線を向けた。
 
「7点の娘がナース服を着ると10点になるという話はしたよな」
「ええ。それには同意しますけど。ここでは関係ないでしょう」
「なら、10点の娘が秘書になったら、何点になる? しかも自分専用秘書で、だ」
「そ、それは……」
 
ナースはいい。メイドもいい。だが秘書もいい。
思わず新八は、秘書のが特上の笑顔でお茶を出してくれる姿を想像してしまった。
そして出した採点結果は。
 
「……限界点突破しますね」
「だろ?」
 
ちなみに銀時の場合は、お茶ではなく、自分自身を差し出す秘書なの姿を妄想していたりしたのだが。
何にせよ、『秘書萌え』という点で、二人の男の意見は合致する。
しかし、ここ『万事屋銀ちゃん』内にいるのは、男二人だけではない。
うち一匹は、ちょこん、と座っているだけだが。
残る一人は、黙ってはいなかった。
でれっと、しまりの無い顔つきとなった男二人に対し、無言で傘を突きつける。
ガシャコン、と機械的で不吉な音が室内に響き。
その音に二人が我に返る間もなく。
 
ドドドドドドドッ
 
―――に何させるつもりネ?
 は私のものヨ。を汚すような真似、私が許さないアル」
 
傘の石突の部分から立ち上る硝煙を吹き消す神楽。
更には、隣に座っていた定春に「定春、噛み付くヨロシ」とまで指示を与えている。
ただでさえ、神楽の攻撃を受けたところへ定春に噛まれ、万事屋は流血沙汰。男性二名重傷なり。
 
 
 
何はともあれ。
の『万事屋銀ちゃん』就職が、満場一致で可決されたことに、変わりは無い。



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ヒロイン登場してないですね……
つ、次は出ますので! あと、万事屋じゃない人も!(笑)