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29歳の若さで世を去った夭折の怪童棋士

聖の青春

不治の病を抱えながら、天賦の才能に導かれ、名人を目指した村山聖と、
彼を愛し、見守る人々。

   
  「42℃になったら僕、死にます。」看病する師匠森五段に、まだ中学生の村山は言います。名人への道を彼の病は、幾度となく阻みます。
しかし、これは、闘病記ではありません。
成人した村山は、四畳半の小さなアパートに彼の愛した幾冊ともしれぬ、漫画とミステリーに埋もれ、ひとり暮らします。

病を気遣う父、母を説得し、13才で、自らの進む道を定め、ひたすらに進む少年の無垢で一途なたましいが、彼と出会う人々を魅了し、誰もが、かれを愛し、慈しみます。
そして、かれと彼を愛した人々との、まるで、奇跡のような交わりが綴られます。

なかでも、村山と師匠森五段の、エピソードは、やさしく、暖かく読者の胸を打ちます。
著者、大崎善生自身が、将棋専門紙の記者として、また、森五段の友人として、間近に村山と接し、かれを愛したひとりであったことが、伝わってくる本です。

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