大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

きる熱(=ほてる火照、暑く感ずる)-2

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僕:表題については既出。今日も暑かった。第二弾としよう。
君:今更、書く事も無いのでは?
僕:確かに。新発見というほどでもないが、「いきる熱」の語源が「いききる息切」でない理由について。
君:簡単すぎるわよ。他ラ五(他動詞ラ行五段)・切る、の五段動詞は頭高二拍動詞だから。
僕:要はそういう事。複合動詞の後方成分が頭高なら、その複合動詞も頭高にて、前方成分は平板で後方成分に接続する。
君:他ラ五・たたっきる、などがそうね。これは中高五拍。
僕:そう。値切る、だって中高三拍だ。
君:自ラ下一・いきれる熱、のアクセントはどうかしら。
僕:残念ながら出版されている三冊のアクセント辞典(新旧NHK、三省堂)には記載が無い。ただし、三冊とも名詞「いきれ熱」は記載があり、平板と尾高の両論併記。
君:残念、打つ手なしね。でも大衆館日本語逆引き辞典は?
僕:これと突き合わせても打つ手なし。つまりは傾向が無い。平板で、荒れる・枯れる、とか中高で、慣れる・ずれる、とか。平板・入れる、なのに、中高・聞き入れる、とかね。類別語彙は無いに等しいな。
君:そんな事は小学生でも知っているわよ。
僕:うーん、困った。
君:ほほほ、困らないわよ。
僕:えっ、答えを知ってるの?
君:動詞のアクセントは実はワンパターン。名詞や形容詞よりずうっとシンプルなのよ。
僕:へえ、今まであまり考えてこなかったな。
君:アクセントを決定づけるものは拍数。拍数が最重要。★二拍動詞は平板と頭高のいずれかの二種類しかなく、★三拍以上の動詞は平板と中高のいずれかの二種類しかないの。
僕:へえ、つまりは★拍数に関係なく平板動詞は有り得るという事、★二拍動詞で尾高は有り得ず、★三拍以上の動詞は頭高は有り得ないという事か。なるほど。
君:私が折角二つのルールをお示ししたのに、どうして同じ内容なのに三つのルールにしちゃうのよ。おバカさん。
僕:失礼、その通りです。つまりは「いきれる」は平板か中高のどちらかしかない、という事になるが、それこそ今夜、正に問題としている命題だよ。僕は「いきれる」が平板なのか中高なのか、そこが知りたかったのに。
君:どちらでもいい、というのが結論ね。
僕:確かにね。でもひとつだけ、僕もたった今、気づいた事がある。それは・・ふふふ
君:あらあら、左七君が私に向かって逆襲のつもり。じゃあ、ヒントだけお願いね。
僕:命令形。
君:ほほほ、なあんだ。そんな事。あらゆる動詞に於いて命令形は中高ないし頭高ね。平板は有り得ない。
僕:左様でございます。命令形は下げ調子、疑問文は挙げ調子。これはアクセントとは言わず、むしろイントネーションの世界。
君:イントネーションは世界共通ね。
僕:その通り。人類のあらゆる言語に共通だ。若しかして犬猫の言語、つまり人類以外の動物の言語にすら共通するルールかも知れない。犬猫の鳴き声や小鳥のさえずりの周波数分析がしたくなってきた。仕事柄、生物全般に興味がある。
君:おバカさん!下げ調子。断定文。動詞なら差し詰め中高ね。馬鹿な事を言うのはやめろ、の意味よ。ほほほ

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