大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 地名考 |
しみ(下呂市萩原町四美) |
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私:今日は萩原町の小さな村「しみ四美」について。 君:どうしてまた。 私:私の頭に古い記憶があるんだ。 君:記憶とは、若しかして、行った思い出。 私:そうだ。 君:何歳の頃? 私:多分、五歳。だから昭和33年。62年前だ。 君:小学校入学前の事なのに。 私:そう。昨日の事のように思い出される。 君:何かあったの。 私:朝、父親のトラックの助手席に乗り、四美に到着。 君:それで。 私:父は沢山のミツバチの箱を大きな川の土手に並べた。 君:えっ、沢山のミツバチの箱。 私:そう、養蜂家。 君:まさか、あなたがお手伝い。 私:ははは、それはないな。私は単に遠出の遠足。四美の村は大西村(高山市久々野町大西)の我が家からは気の遠くなるほど遠く、楽しかった事を覚えている。 君:景色を覚えているのね。 私:勿論。目の前の大きな川をはっきりと覚えている。 君:益田川(飛騨川)ね。 私:うん、間違いない。後にそれを知る。 君:四美へは何回も行ったのかしら。 私:多分、一回だろう。季節は花咲く春だったかなと思うけど。 君:覚えているという事は楽しかったという事よね。 私:心理学のイロハだそうだが、感情を伴った行動でなければ、生涯の記憶にならない。 君:出会いがあって別れがある。人と別れた時の相手のひとことね。 私:そう、聞かされたほうは生涯、忘れないが、・・。 君:言った本人は直ぐに忘れてしまう。 私:感情がなければ、だけどね。 君:考えに考えて言葉を用意して打ち明けた内容も忘れようにも忘れられないものよね。 私:うん、その場合は聞かされた側がすぐに忘れてしまうけど。 君:つまりはお互いが同じ感情で言葉のやりとりが無いといけないのよね。 私:例えば結婚の誓いなんかそうだよね。 君:脱線しているわね。 私:本題に戻ろう。 君:地名の由来ね。 私:勿論。名前の由来は斐太後風土記「四美村。北方に高い山を背負い南面するので益田風(ましたかぜ)とよばれる寒風が遮られて暖かく、土地が肥沃で近隣の村から羨ましがられた事による」との記載がある。 君:国立国会図書館デジタルコレクション。便利な世の中ね。 私:つまりは四美は瑞祥地名。 君:四季を通じて美しい村という意味よね。 私:「しみ」という音韻は「お顔のシミそばかす」を連想させるのが残念。 君:だからアクセントで解決。 私:そういう事。四美は頭高。染みは尾高。 君:但し四美村のアクセントが平板になるのが若干、問題ね。 私:そういう事。 君:山もきれいだから四方が美しいという意味は無いかしら。 私:無いだろうね。南向きの集落で、それは無いだろう。 君:花もきれいだけれど、桜もきれいよ。 私:ああ、四美のしだれ桜。 ![]() 君:そして「四美ナリエ」。 私:約10,000個のキャンドル。神戸ルミナリエのあやかりにしては素敵な名前「シミナリエ」だね。残念、コロナで中止だったか。 君:来年に期待。 私:そういう事。ところで四美大、って知ってる? 君:「しびだい」? 私:ははは、違う。違う。「よんびだい」 君:ふふふ、わかったわ。四つの美術系大学連合ね。 私:そう。東京四美大。多摩美術大学。女子美術大学。東京造形大学。武蔵野美術大学。 君:どうして知っているの。 私:斐校の同級生の一人が多摩美。 君:なるほどね。 私:養蜂の話に戻って、実は悲しい結末となった。 君:えっ、何かあったの。 私:天は我が家に味方しなかった。その後、数年して、つまりは僕が小学低学年の頃だったか、ミツバチの疫病が岐阜県で流行り出して、我が家のハチは元気だったが、県から全てを焼却処分するよう、行政の指示が出た。 君:まあ。 私:我が家の田んぼの真ん中で全てのミツバチを箱ごと焼却した。父は念仏を唱えていた。 君:泣いておられたのよね。 私:ああ。以後、我が家は養蜂業を廃業した。 君:あなたも小さい頃、ご家庭であれこれあったのね。 私:嬉しい事に、家には有り余るハチミツがあった。舐めたい放題という事で、僕は実は虫歯が多い。 君:それは残念ね。 私:今でもハチミツは嫌いじゃないんだよ。パンケーキなんか好物だな。 君:心の痛手は無いのね。 私:今更だな。何処のご家庭でもある事だろう。 君:そうね。 私:天真爛漫そうな君の人生も嫌だった事ってあったのかな。 君:そりゃあったわよ。人に言わないだけよ。 私:自分の人生でも嫌な事がいっぱいあったのだが、・・・・・歳のせいか、どうにも思い出せない。 君:ほほほ、幸せね。 私:その反面、楽しかった事が忘れられない。 君:人との出会いとかね。 私:You said it! Green Hotel. 君:You made me say so. You and I remember well. ほほほ |
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