飛騨の民話・味噌買い橋、に乗鞍の麓に沢上・そうれ、という
村があって、の件がありますが、勿論、実際には存在しません。
しかしながら、さわかみ、と呼ばず、そうれ、とは一風変わった呼び名です。
お察しの良い方は、さわうれ、が訛って、そうれ、に
なったのでは、とお気づきでしょう。
飛騨全土の大字を調べますと類似の地名として四箇所が
あげられます。
飛騨市、河合町、中沢上 ・ヒダシ、カワイチョウ、ナカゾウレ
飛騨市、宮川町、中沢上 ・ヒダシ、ミヤガワチョウ、ナカソレ
飛騨市、宮川町、祢宜ケ沢上・ヒダシ、ミヤガワチョウ、ネガソレ
下呂市、馬瀬、 川上 ・ゲロシ、マゼ、カオレ
です。
ネット情報によっては、ナカソウレ、ナカゾレ、もあるようです。
また別稿・2007/01/25 益田清風高校
には川上岳・カオレダケ、をご紹介しました。
なかぞうれ、とは、なか+さわうれ、これが連濁により、
なかぞうれ、となったのですね。
ねがそれ・かおれ、は、ねぎがさわうれ・かわうれ、が
語源である事も書かずもがな。
この、うれ、という言葉も実は古語なのでしょう。
うれ・末、名詞、組成は裏・うらの転、木の枝や草の葉の先端。こずえ。
磐代いわしろの小松が〜をまた見けむかも・万/2.146
ところで飛騨は広い、岐阜県の1/3です。そして中沢上は北飛騨、川上は
南飛騨、両者は離れているのです。
つまりは、このだだっ広い飛騨全体が万葉の時代から
ひとつの言語圏であった事が、これら四つもの地名が存在する事から、
もはや明らかです。ところで、うれ、といっても意味は実は、上・うえ、
という事ですから後世には上の字が宛てられるようになったのでしょう。
但し発音は残った為に難読地名となったわけなのですね。
また、末、という漢字は、もともと先端・トップ、天辺、という
意味で宛てられていたにもかかわらず、後代には、末といえば、
例えば末席は一番下の席ですが、上の反対の意味になってしまった
のですね。
たかが四つの地名、がしかしわかり難い事が二重になっているのです。
道理でわかりにくいという事です。
でも佐七は気が付いちゃいました。
しかもおまけに、万葉時代からの由緒ある地名ですね。うふふ。