二つの意味があります。ひとつは、(例えば物の重さに腕力が耐えかねて物を
床に)置いてしまう、という意味です。但し関西方言と異なりアクセント核は
語頭・お、です。もうひとつの意味は、やめてしまう。
動詞・おく、の意味は佐七辞書・おくの通りです。
やめる、という意味の四段動詞です。
共通語、というより文語では感嘆おくあたわず、以外に
用いられる事はないでしょうね。それでも共通語では、
もうやめよう、もうよそう、もうおこう、というのでしょうか。
ところが飛騨方言では決して、おこう、とはいわないでしょう。
それを言うなら、もうおかまいか。
この言葉というのは、もうおかむとすまいか、が元の
言い方ではないでしょうか。
つまりは共通語では五段動詞といいますが飛騨方言では
決してオ列で活用しないのです。
当サイトを始めて二年近くになり、実は初期の原稿には
五段動詞という文法用語を使っていますが、
その後の原稿はすべて四段動詞という言葉を使っています。
関西方言と同じで、〜してしまう、と言う意味で、
〜してまう、というのも飛騨方言の特徴です。
また促音便・カ変・サ変では、てまう、が用いられますが(くってまう=食べてしまう、きてまう=来てしまう、してまう=してしまう)、
それ以外は濁音となる事が多いのです(ないでまう=泣いてしまう、
)。詳しくは飛騨方言における動詞連用形イ音便に接続する接続助詞・て、の濁音化
をご参考までに。
さて同音異義語の、おいでまう、ですが会話で同時に
用いる事はあります。意味は推して知るべし、例えば、
あんまり重たいで、荷物を道においでまって、行く事をおいでまった。
の文例ですが、あまりにも重たいので荷物を道に置いてしまって、
行く事をやめてしまった、という意味になります。
しゃみしゃっきり。
|