金田一春彦、ホンモノの日本語を話していますか?、
角川oneテーマ21、の中の、山あり谷あり、の
章に少しばかり触れてあります、そんなお話を。
ところで、古語辞典には、を・峰、ね・峰・嶺・根、共に尾根の意味で
記載があるのに、古語辞典には、をね、の記載が
ありません。何故でしょう。佐七には世紀の発見でしたが、ドキッとしない方よ、さようなら。
おね、は古語ではないから古語辞典に載っていない。
当たり前の事ですね。つまり現代語なのです。
どうせ明治時代に、を+ね、で尾根になったんだろう、
とお思いの方にこそ、この頁を読んでもらいたい。
実は明治の国語辞書にすら尾根は出てきません。
いきなり答えですが、尾根という言葉は
信州・飛騨・山梨あたり、つまり中部山岳の古来からの方言だったのです。
中部山岳の民の言葉の感性が、を+ね、で尾根という
方言を創造したのです。
明治になり文明開化、東京の庶民が
気楽に信州にいけるようになりました。
登山も盛んになりました。そして
東京の人たちが初めて耳にした言葉が信州人が
使う言葉・尾根。この言葉は徐々に東京に
広まり、すっかり東京語になってしまい、
それまでは稜線という単語
しか記載がなかった国語辞典も、やがて尾根
を記載するようになりました。
このような経緯で、尾根が突然に共通語になったのです。
また、別稿・江戸時代の飛騨方言・でかい
もご参考までに。
つまりは、でかい、も地方で生まれ、中央で流行し、共通語になった
言葉です。
ここまで書けば、お察しのよい方には
書くまで無い事ですが、でかい尾根、といえば飛騨山脈。
つまりは、でかい尾根という言葉は中部山岳で生まれ、中央で流行し、
国語辞典に載り、共通語となり、山に芝刈りに行った佐七が、金田一先生の本を参考に、ネット記事として本邦初公開したとさ。
しゃみしゃっきり。
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