大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

おとつい・飛騨方言

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共通語・おととい、が飛騨方言・おとつい、ですが古語に由来する言葉ですから 全国の方言として残っていると筆者なりに推察します。

古語辞典にそのものの単語が記載されていますので、いまさら 筆者が何を書かんや、ですが、古語辞典では、をち(彼方)つひ(日)、を見てください。 代名詞・をち(彼方、遠)、の意味は、それより向う、遠く隔たった所、遠方、それより以前、 そりより後、等々いくつかの意味を持つ言葉です。 時代の変遷で、をと、も用いられるようになりました。

をちつひ、は二つの名詞を格助詞・つ、で結ぶいわば常套句、複合語です。 この格助詞は名詞を受けて下の名詞の修飾格に立たせ、 所属の関係を表わす機能を持ちます。 〜の、〜にある、などの意味になります。 例としては、あまつかみ(天つ神=天国の神様)、おきつしらなみ(沖つ白波=沖の白波)、 そこついほね(底つ磐根=地の底にある大岩)、ふゆつかた(冬つ方=冬の時節) などがあります。をちつひ、は、文字通りかなたの日と言う意味です。

以上は平凡な議論という事になります。 古語辞典の丸写しだろというお言葉を甘受します。 問題は、古来からおとつい、であった言葉が何故また、共通語・おととい、と 訛ってしまったのかという事ではないでしょうか。と申しますのも、 T音・つ、は堅さ、強さともに子音中最大の部類に属しおいそれとは 変化しないのです。例としては、 別稿・つづりさせ(=コオロギ) などがあります。 つやつや、という擬態語は平安時代から現代まで使われています(源・若葉)。

まさか東京語の傾向として、つ−>と、というように音韻変化しやすいという事でしょうか。 おとついきやがれ、と言うところを、 おととい・・、という風に、おっと!!つい訛ったので しょうね。座布団一枚だ!しゃみしゃっきり。

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