悪い、そまつだ、いかがわしい、ひどい、よくない、等々、多様な意味の飛騨方言です。
また、おぞくたい、という同異義語があります。
あるいは"おぞくたい"という言葉がいつのまにか、"おぞい"となったのかも知れませんが、ところがどっこい、
"おぞくたい"も"おぞい"も共に現役の飛騨方言なのです。
古語辞典をみますと、"おそし(鈍し)"があり、鈍い、おろかだ、のろい、等々の意味で紹介されており、
"おぞい"とほぼ同意です。"おそし(鈍し)"が"おぞい"になった可能性があります。
またあるいは古語辞典にはおぞし(悍し)、おずし(悍し)という形容詞があります。
気性が激しい、果敢である、勝気である、恐ろしい等々の意味で女性に対して
女だてらにという意味で用いられるようです。"おそし(鈍し)"に対して、意味がほぼ同意、語感も似ている
という事で"おぞい"の原語としては最有力候補です。
また古語辞典にはおぞし(悍し)、おずし(悍し)の同意語に、おぞまし(悍まし)、おずまし(悍まし)も
それぞれ記載されています。こちらは共通語・おぞましい、にかなり近い言葉といえます。
以上の候補者中、やはり語感の点からおぞし(悍し)が"おぞい"の語源とすべきでしょう。
しかしながら、飛騨方言・おぞ(くた)いは、両性に対して用います。
飛騨地方では、もともとは女性に対してのみ"女だてらにおぞいやっちゃ。"といっていたのが、
いつのまにか"男のくせにおぞいやっちゃ。" と男性に対してもいっていたのかも知れません。
という事で結論ですが、あるいは古くは平安の御世から男女同権先進地域・飛騨地方。
飛騨方言・おぞくたい、の語源に関する一考察
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