大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

ほえ・飛騨方言

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枯れた木の細枝にて、火を熾す時の用途にニ十センチ程度に切りそろえたものをいいます。アクセントは尾高です。その昔の生活はかまどの火、風呂の火を熾す必需品であったので、家の軒先に積んであったものですが、ほえだな、といいます。江戸時代の書・飛州志には、他州では粗朶(そだ)という、とあり。俚言の可能性がありましょう。土田吉左衛門著・飛騨のことばには、(1)ほえの切れを、ほえくし、(2)ほえを束ねる事を、ほえたばね、(3)柴木を拾う事を、ほえひろい乃至ほえまくり、(4)柴木を採取する山を、ほえやま、(5)鳥が木片で作る巣を、ほえわたし、(6)ほえの中にある太い薪を、ほえのばいた、の記載があります。また同書では、ほえを膝頭と両手で折れる枝と定義しています。

さて、ほえの語源ですが、飛州志の記載から、どうも、ほずえ、にあるようです。更には、上宝村誌には、ほえの同義語で、ほぜ、の記載があり、つまりは、上代に、ほずえ>ほぜ(母音uの脱落)>ほえ(子音zの脱落)、と変化して、江戸時代には、既にホエが話されていたもののホズエは死語化、一方、上宝村では未だにホゼが話されている可能性がある、という訳です。

おまけですが、細枝ホソエダが語源の可能性はないでしょうか。答えは否。ホソエダは母音の脱落によりホセダ、語頭の省略によりセダ、と変化する可能性がないでしょうか。実は伊豆西海岸の方言で、枝の事をソダと言うのです。しゃみしゃっきり。

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