大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

むてんに・飛騨方言

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飛騨方言・むてんに、ですが、むやみに、あるいは、やたらと、というような意味で用いられます。 古語辞典にはなく、飛騨俚諺のようです。

語源について筆者は実は数週間、考え続けておりましたがついに結論が出ました。 筆者なりに、古語名詞・むたい(平家物語4競)、古語形容動詞・むたいなり、から派生した言葉ではないかと考えます。 以下に根拠をお示しします。

何かの語がつまって、むてんに、あるいは、むてん、という飛騨方言が成立したのですから、 つまる前の語の推量せねばなりません。 ここで思い浮かぶのが当サイトに別稿で寄せています飛騨方言における連母音融合です。 つまりは 連母音融合・てん、のもとの言葉は、"たいん"です。 言い換えますと、連母音融合語"むてん"のもとの言葉は、"むたいん"と考えれられます。

勿論、"むたいん"では日本語になりませんので、何の言葉が"むたいん"になったのかと更に考えると、 撥音便で、"むたいに"が"むたいん"になったと推量する事ができます。

つまり、お定まりの表記で古い順に並べると、
むたいに>むたいん(撥音便)>むてん(連母音融合)
という事でこの飛騨方言が成立したのでは、と考える事ができます。 勿論、古語のむたい(無代)、も飛騨方言・むてん、も意味は同一です。

ところがそもそも、むてん、という言葉そのものに、格助詞・に、が内包されているのに、 やはり、むてんおもしろい、という言い回しはどうも、ことばとして落ち着きが無い、 いつの時代かの飛騨人が、副詞句"むてん"をよりによって体言と勘違いしてしまって、結局また"むてん"に格助詞・に、を足して、 むてんにおもしろい(=実は"むたいにに"という事か)、と言い始めたという事でしょうか。

ところが以上は全て筆者の推量です。完全に外れている可能性は無きにしもあらず、もしそうなら御免なさい。

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