飛騨方言・たばっとく、ですが、大事にしまっておく、ためておく、と言う言い回しです。
飛騨方言他動詞・たばうの連用形の活用・たばいておく、
が促音便化して、たばっておく、となりますが、これが訛り、たばっとく、となった事は容易
に推察できます。さらには、たば(束)としておく、が原義でしょうか。
ためておく、が訛った言い回しではないようです。
未然 飴をたばっとかんで、食ってまう弟
連用 飴をたばっといで妹にやる優しい兄ちゃん
飴を妹のためにたばっとけ
終止 飴をたばっとく
連体 飴をたばっとく癖
仮定 飴をたばっとけばよい、飴をたばっときゃええ
命令 飴をたばっとけ、たばっとけよ(男)
飴をたばっときないよ(女)
飛騨方言では、たばっとく、も、たばっておく、も同様の頻度で用いられると思いますが、
語変化の過渡期にある言葉といえます。
もはや、現代語・飛騨方言・たばっとく、には束にしておく、という意味はありません。
例え、香水とか、秘蔵酒など束にする事ができないものでも、たばっとく、を使用します。
たばっとく、はぞんざいにそこいらあたりに放り出しておいて所有権を放棄せんばかりであるという事なく、
物は物、液体は液体なりに、しかるべく貯蔵法で、所有を明言し、大事に何時でも使用できるように保存
しておく、という意味になります。