飛騨方言動詞・たばう、ですが、保存する、貯えておく、という意味です。
古語辞典に他動詞・たばふ(他四、庇ふ、貯ふ、惜ふ)、がありますが、
大切にしまっておく、蓄える、という意味です。
平家物語 高野本 巻第五
などもご参考までに。
たばう、は全国の方言として散見されます。
ネット検索によりますと丹後方言でも、たばっとく、を同意で用い、
尚且つ、たぼとく、も用いるとか。
蛇足なが同方言では、しまう、を、しもうとく、とも言うようですね。
飛騨方言では、たぼうとく、も、しもうとく、は決して用いられません。
共通語と同じく、しまっておく、です。
また、しまっとる、と言えばね飛騨方言では、仕舞う・閉まる、どちらの意味にもなります。
未然形・たばわないで、は、撥音便・たばわんと、の言い方もありましょう。
連用形・たばいて、は促音便で用います。
実は筆者自身はこの動詞は連用形促音便で
しか用いません。たばいておく、が
訛った言葉・たばっとくがそれです。
また命令形・たばえ、は死語に近く、
たばっとけ、の言い回しが普通でしょう。
たばう、と、ためる、に厳密な意味の違いはないと思います。があえて一言、たばう、は
ひとつひとつ拾い上げてたばとするという意味、ためる、はよどみなく流れるものを
せき止めて、古語動詞・たむ(他動マ下二)、つまりダムのように貯めるという意味になるようです。
たばう、は積極的に集める事、ためる、は消極的に集める事ともいえます。
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