大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

ちょびっとずつ、ちょびっとつつ、ちょびっとつ

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副詞句。 すこしずつ、という意味。 古語名詞・ちと(少と、些と)がありますが、共通語ではすこし、些末という意味です。 この言葉に、ずつ、が付属し、ちとずつ、となり、これが訛った言葉のようです。 ちいとつちいとずつと同じ言葉です。

口語表現の為、ちょびっと、は一部の国語辞典には記載が無いのですが、 ネット検索では25万件ヒットし、 ありふれた共通語というべきでしょうか。 ところが"ちょびっとずつ"で検索しますと、途端にたったの四千件に減少します。"ちょびっと"の 六十分の一になったのです。 ですから"ちょびっとずつ"は稀な言い回しの飛騨方言なのでしょう。 更には飛騨方言では"ちょびっとつ"とも言いますが、 ヒット件数はゼロでした。 若干ヒットするサイトのキーワードは"ちょびっとつ(かれる)”のフレーズに集約され、 "ちょびっとつ"単体を副詞で用いているサイトは皆無のようです。

従って、 "ちょびっとずつ"、 "ちょびっとつ"、"ちょっとつ"、 "ちいとずつ"、"ちいとつ" の五者が典型的な飛騨方言副詞といえましょう。

語変化を推察しますと、 "ちょっぴり"、"ちょっと"、"ちょびっと"の三者とも共通語源があり、 あるいは三者は時系列に並ぶ言葉かもしれません。 実は古語辞典では"ちょびと"が膝栗毛にありますので、
ちょびと>ちょびっと>ちょっぴり、ちょっと
と変化してきたのかもしれません。飛騨方言では 
ちょびと>ちょびっと>ちょっと>ちょっとずつ>ちょいとずつ>ちいとずつ>ちいとつ
あるいは 
ちょびと>ちょびっと>ちょびっとずつ>ちょびっとつ
と変化してきたのかも知れません。

変化というよりは、現に"ちょびっとずつ"、"ちょびっとつ"、"ちいとずつ"、"ちいとつ"の四者共に現役ですので、 分化したという事のようで、飛騨方言は 今後も、分化、進化、変化し続けるでしょう。

上記の言葉がさらに変化すると、 "ちょび"という言葉が浮かび、ネット検索しましたが、 おおっ甲州弁で別意味・いたずら、の"ちょび"があるようです。 が、しかしやはり既に"ちょび"が数件ヒットしていました。 いくつかのBBSに"先輩、お久しぶりっす。ちょび、寄ってみました。"とあり、 若者言葉で既に副詞・"ちょび"が使われだしているようです。

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