大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

ふまんだ 【不満だ】 あかず(古語)、あかすか(飛騨方言)

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しまねこの冒険さんのサイト がヒットしました。氏の思いつき情報でお作りになった 逆引き古語辞典 の情報を拝読しました。というか、ネットに無料の古語辞典がないか検索していたらヒットしたのです。 そしてなんと逆引き。すぐにピーンときました、この中に飛騨方言がある。 と言う事で、
ふまんだ 【不満だ】 あかず
これは代表的名古屋方言ですね。そんなことあかすか、といえば、そんな事は不満だ、承知できない、という意味ですが、 でもこれは実は名古屋方言と飛騨方言の共通方言です。飛騨方言ですと、あるいは
そんなこたぁあ、あかんすかい!
などというのですね。内省しても立派に飛騨方言のセンスにあいます。 大西村の人々の誰に話しても必ず通じるでしょう。 大阪方言では、そんなことあかんて、などといわれるのでしょうね。

注釈も野暮というものですが、あかず、とは飽くことがないということ、 つまりはどうにもこうにも心が満たされないということで 英語ならばまさに be not satisfied と言う事でしょう。まさに不満であるという意味になります。

実は、つい先ほどまで佐七は、チェッ今日は飛騨方言情報がないなあ、などと少しくさっていたのですが( = あかず)、 この記事を書いて途端に幸せな気分になりました( = あく)。しまねこの冒険さん、本当にありがとうございます。
参考記事 飛騨方言における反語表現
追加 2006.4.17
実は古語動詞・あく、は同音異義語で、(1)飽く、つまり満足する、(2)厭く。つまり厭きる・いやになる、 の全く正反対の意味になる事があります。そしてある古語辞典にはなんと、 あかず、とは厭かんむとす、つまり、ふまんだ、という意味であるとの記載がありました。

つまりこうです。飽かず、とは満足の否定という意味になり、あかすか、といえば満足の否定+詠嘆の終助詞です。 一方、厭かすか、といえば不満足の推量(〜むとす)+詠嘆の終助詞、という意味になりましょう。 もっとも飛騨方言ですからこのような複雑な思考過程で会話が進行する訳ではありません。 ただ単に、〜すか、というのは否定的意見を言う時の決まり文句という事でしょう。 これに相槌を打つ場合もそうなります。例えば、
甲者 そりゃあかすか。 乙者 そや、あかすか、なあ。
(甲者 そりゃだめだよ。 乙者 そうだ、だめだねえ。)
あるいはズバリ否定的表現に、すか、が付加する場合はほとんど意味がない単なる添え言葉になります。 これに相槌を打つ場合もそうなります。例えば、
甲者 そりゃあきんすか。 乙者 そや、あきんすか、なあ。
(甲者 そりゃ面白い、飽きないねえ。 乙者 そうだ、飽きないねえ。)

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