別稿に、どんねもない(1)・どれなるにもあらず、
を記載しました。
勿論、このような複雑な変化を経て、どんねもない、という言葉が
生まれたのではないでしょう。
品詞の間違えから生まれた言葉であると筆者は考えます。
品詞の間違えとは平たく言えば勘違いという事です。
どんねもない、の場合は副詞を名詞と間違えたのです。
まずは、どんなに>どんに>どんね、と音韻の変化があったのでしょうが、
この三つはいずれも副詞句です。例文ですが、
どんねなあ。 =どんなにもねえ。
どんねでもなる。 =どんなにでもなる。
ところが副詞句・どんね、がある時に
名詞に勘違いされてしまったのでしょう。
とんでもない事、という意味の体言・どんね、が生まれたのです。
となりますと、その途端に、とんでもない事はない、という
意味で、どんねもない、と言ってもお互いに意味が通じてしまいます。
余談にはなりますが、散らかっているという意味の、だっしゃもない、は
語源は、らちもない、です。この語はただ単に音韻の変化という事であり、
品詞の勘違いはありません。らち、は名詞です。
更に余談になりますが、とんでもない、の語源について。
語源辞典には、途でもない、が訛った言葉、との記載です。
途、とは、道程、の事、ついつい力を入れて話すと、と>とん、
に変化するという事ですね。