大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源

どんねもない(2)

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別稿に、どんねもない(1)・どれなるにもあらず、 を記載しました。 勿論、このような複雑な変化を経て、どんねもない、という言葉が 生まれたのではないでしょう。 品詞の間違えから生まれた言葉であると筆者は考えます。

品詞の間違えとは平たく言えば勘違いという事です。 どんねもない、の場合は副詞を名詞と間違えたのです。 まずは、どんなに>どんに>どんね、と音韻の変化があったのでしょうが、 この三つはいずれも副詞句です。例文ですが、
 どんねなあ。 =どんなにもねえ。
 どんねでもなる。 =どんなにでもなる。
ところが副詞句・どんね、がある時に 名詞に勘違いされてしまったのでしょう。 とんでもない事、という意味の体言・どんね、が生まれたのです。 となりますと、その途端に、とんでもない事はない、という 意味で、どんねもない、と言ってもお互いに意味が通じてしまいます。

余談にはなりますが、散らかっているという意味の、だっしゃもない、は 語源は、らちもない、です。この語はただ単に音韻の変化という事であり、 品詞の勘違いはありません。らち、は名詞です。

更に余談になりますが、とんでもない、の語源について。 語源辞典には、途でもない、が訛った言葉、との記載です。 途、とは、道程、の事、ついつい力を入れて話すと、と>とん、 に変化するという事ですね。

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