最近知ったのですが、女房詞か?飛騨方言・おもるの
通りです。おごる・奢る、が訛って、飛騨方言・おもる、に変化した訳ではなく、
逆だったのですね。元々は全く別の意味の、おごる、と言う言葉が意味を変えてまで、
おもる、という動詞と置き換わってしまったのです。
これは筆者にとっては国語語彙史の大事件でした。
つまりは、ちゃっかりと、おもる、に取って代わってしまった動詞・おごる、
ですが、でもなかなかやるじゃありませんか。
しかも、各種の語源辞典がお書きになる共通の内容では、それは江戸時代の
事、つまりはつい昨日、というから立派なもんです。
短期決戦、完全勝利。
ですから佐七は、おごる、というこのやんちゃな動詞も、おもる、同様に
とても興味が沸いて、調べる事にしました。
飛騨方言のお話からはドンドン脱線してしまいますが、
でも、ブログ、つまり現代版徒然草、ならなんでもありと言う事でご容赦を。
さてそれでも、奢る、と言う動詞は、驕る、から
来ていることなど各種語源辞典を調べるまでもありませんね。
驕った社長さんが部下に奢るなら話はわかりますが、
部下が上司に奢るという話はついぞ聞いた事がありません。
同音異義語の、奢る・驕る、ですが、やはり奢るの語源は驕るでした。
というのが前置きです。
各種語源辞典はなおも説く。
実は、驕るの語源は、上がる、なのです。
そして古語辞典で、上がる、を引くやあるわあるわ、
とにかくいろんな意味のてんこ盛り。
なんとその意味の一つが後世に驕るに化け、
次いで驕るは奢るに化け、つまりは、上がる、
は動詞のご先祖様としては横綱級です。
ここまで書けばお察しの良い方には書くまでも無い事ですが、
ひとつの動詞に幾つの違った意味があるか、それは
言い換えればその動詞の、日本語としてのご先祖様指数とでもいうべき数値、
という事なのですね。
また、辞書文例なんて一見しては味気ない羅列ですが、
実は時代が流れてその動詞の意味が増加しているという
貴重な資料である事が判ってきます。
話を、上がる−>驕る、が生じてしまった事のみに
限定しますが、これを国語学では母音交替というそうで。
この語の意味は、例えば、補う、という言葉は、破れた衣に宛て布を、置き縫ふ、
と言っていたのが、おきぬふ−>おきのふ−>おぎのふ−>おぎなふ、
になったそうです( くらしの言葉語源辞典、講談社 )。
語の発音は時代の波をかぶって変化していく、というのが
母音交替です。
つまり母音交替により突然に、あがる、は、おごる、になった。
若しかして平安時代でしょうか。
そして、母音交替の申し子・おごる、が突然に自分自身の意味を変えてまでも、おもる、を蹴散らした。
といってもつい最近の事、江戸末期。おい、動詞・おごる、わりゃいったいどういうやっちゃ!
結論ですが、ホント、おごる、って動詞ゃあ、やーらしいやっちゃさ。
そやでおりゃ、おもる、って動詞のほうがでーれー好きやさ。
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