飛騨は山国、面積の大半が森林ですから、
山林地主の方も多いでしょう。
隣地境界を決めるのに最重要の品詞は二つ、尾根とさこ、です。
別稿・尾根もどうぞ。さこ、の意味は稜線の逆で、
山肌のくぼんた地形の事を言いますが、常に水が流れていれば
さこ、ではなく、谷、という訳です。
大雨が降れば、さこ、はたちまちに、にわか谷、になるわけです。
さて、さこ、の語源ですが、ある方言資料に、堰き・せき、
迫き・せき、かとの記載がありますが、残念ながら間違いでしょうね。
さこの音韻は平板無核です。
難しく考えない事です。
ここはひとつ、素直な発想で参りましょう。
さかひ 名詞。境。境界、さかい目。
文例、更級。
さかふ 他ハ四(他動詞ハ行四段)。境ふ。境をつける。区切る。
文例、万 6.955
意味、音韻ともピッタリと合っている訳ですから、
語源としては最有力でしょうね。
つまりはさかふ>さこう>さこ
佐七にはこれ以外の語源は考えられませぬ。