佐七辞書・しょうけに記載した通りですが、
升受け(しょううけ)の説の出典は、確か岐阜県が運営している平成風土記の電子図書館の
記述です。トップ頁は岐阜県図書館です。
斐太風土記にあり、草筒の字を当てて、しょうけ、と読ませる、そうけ説の
出典は飛騨総合ポータルサイト
です。同サイトは飛騨の市町村が共同管理しているのですが、
記述は複数名によるものでしょう、文責がどなたにあるのか判然としません。
最近ですが、もうひとつ資料をみつけました。
高山市の岐阜県ミュージアムひだ、の資料室にあります書籍・
滅びゆく方言を訪ねて、岐阜県方言研究会編、昭和五十一年版、西濃印刷・岐阜市七軒町15、
には、しょうけ・小笥、の説の記載がありました。
くしげ・櫛笥、等の言葉からも連想される、とも記載されています。
結局は、しょうけ、の語源は不明と言わざるを得ませんが、
それでも、しょうけ・小笥説は佐七は決していただけませぬ。
以下に問題点を列挙しましょう。
- 笥、と言う漢字は、す、の唐音読みが普通であり、意味は、はこ、です。
ざる、ではありません。
- 笥が後続詞である複合語がありますが、
衣笥、竹笥、革笥、薬笥、壁笥(へきし)、単笥、つまりは
日本人なら誰でも知っている言葉が、衣服をしまう箱・たんす・単笥、です。
- しょうけ、は実は台所用品のなかでも結構大きいのです。
なぜ、ことさらに小笥と言わねばならないのでしょうか。
- また、しょうけ、には実はさまざまなサイズがあります。
ですから小さい物をしょうけ、と言い、大きいものを、だいけ、
と言うのであれば、もともとは小さい物を作って、これを小笥と
言っていた可能性がありましょう。
事実は逆です。現在、既にしょうけは生活必需品ではありません。
観光土産品です。つまりは、売れやすいように元来よりうんと小サイズに
しないといけません。
しょうけは元々でけえくせに名前がちいせえ小笥、やはり可笑しいですね。
話変わって、飛騨には、しょうけめし、と言う言葉もあります。
炊き込みご飯の事です。この言葉の語源も不明と言わざるを得ませんが、
民間語源としては、塩気飯、つまり、味付けをしたご飯、という意味だろう
という説が最右翼です。
ところが、筆者がいままで聞き取り調査した沢山の方で、
皆様が異口同音に、しょうけめしは塩気飯、と唱えるのですが、
ではショウケの語源は塩気だと思いますか、と私が問い返すと
全員が途端に口を閉ざすのでした。
民間語源調査、つまりは真実はいざ知らず、罪の無い一般の人々が
何を語源と考えているのか、これを調べるのも骨がおれます。
しゃみしゃっきり。
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