てむずりとは、あれこれ手でもてあそぶ事、という意味の飛騨俚言の名詞です。
語源に関しての情報は皆無です。
ところで江戸時代末期の国府在郷の知識人・大坪二市の著書・農具揃、の一節を
ご紹介します。十二ヶ月の各月についての農業書です。正月三日についての記載ですが、
三日ハ、必ズ村役人ヨリノ沙汰トシテ触事アリ。
其詞ニ、御法度ノ博打、三笠附、或ハカケノ諸勝負、宝引ナド、
都而銭手モヅレスナ、右成者ノ宿スル事勿レ。
わかり難い文語調ですが、現代語に訳しましょう。
正月の三日は必ず村役人からの業務連絡としてお触れ書きがあります。
その文章には、禁止されている博打、三笠附や、あるいは賭け事など
の勝負事全般、宝引など、すべてのお金に関して手がもつれるような
事をしてはいけない。またそのような事をする者に場所を提供しても
いけません。
どうも、つまりはお正月というとついついうかれて勝負事をして
問題となる事が多く、村の役人さんがお触れを出していたようですね。
手もづれをするな、と記載されています。
筆者はこの文章が、現代語飛騨俚諺・てむずり、の語源であろう
と直感します。てむずりの語源は、手のもつれ、でしょう。
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