大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 語源

よこざ

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よこざ・横座、なんてのは、今の時代には、 うーむ死語になっているのかも。 さて、よこざ、とはこの言葉か出てくる以上は、 囲炉裏・いろり、が無くては話になりません。 つまりは今の時代、囲炉裏・いろり、のある家庭なんて あるわけないですから、囲炉裏の横座といわれてもねえ。

ならば、古い飛騨の民家・飛騨の里へ行ってみれば いいじゃありませんか。 ところが、飛騨の里、ってのが実に曲者なんですわ、実は。

いきなりぶっそうな話でごめんなさい。 曲者とは飛騨の里の家の向きです。 玄関ですが、これは必ず南向きでなくてはいけません。 妥協しても南東向き、あるいは南西向き。 北向きの玄関はいただけません。 風水を無視した飛騨の農家の建築は どうも筆者にはうその建物のように見えてしまいます。

大西村をみてみましょう、北向きの玄関のお家がわずかにあります。 ふーむ、村道と直ぐそばを流れる川を考慮すると 北向きの玄関にならざるを得なかったのでしょうか。 うーむ,でもやはり考えてしまいますね。 玄関はどう考えても南向きでなくては。

囲炉裏ですが、飛騨方言ではひなたともいいます。 勿論、飛騨では囲炉裏という事もありましょう。

さて、四角四面のひなたに座る序列ですが、横座という言葉は一部の国語辞典にも掲載されており、共通語と いえなくもありませんが、この言葉は多くの方言サイトで紹介されており、私としても是非、飛騨方言として紹介したいところです。 横座とは言うまでも無く、家父長がすわる王の座とも呼ぶべき、絶対権威の象徴の場所で、 仏間、あるいは、デイという客間に近いところの座です。囲炉裏が各家庭にはあり、ひとつの辺が横座ですが、 何はともあれ、仏間に近いところの囲炉裏の一辺が横座でしょう。 家のつくりは大方はパターンがあって、南向きの家の 南側中央にドウジという土間があり、その奥に囲炉裏の間があり、左側が横座です。囲炉裏の間の左には仏間、デイ があるわけです。

そして横座の左隣、つまりは玄関からは一番奥側がかか座で家父長の夫人が座ります。かか座の奥には 台所、食料庫があるというわけです。かか座の更に左、つまりは横座の真正面は、しも座ともあるいは嫁座 ともいい、嫁いだお嫁さんが座ります。そして横座の右隣、つまりは玄関に一番近い席は客座ともいい、 また家父長に次にえらい人が座るという事で、あに座ともいいます。 尚、王様の座が何故、縦座でなくて横座なのか、下の図で一目瞭然です。
            北
+------+-----------------------------+---------------+
:      :           だいどこ(=台所)   :   どうじ  
: 仏   :                        +---------------+
: 間   :              かか座            :
:      :             +---------+                     :
:      :       横座 : 火なた  :  嫁座、しも座       :   
+------+             :(=囲炉裏):            :
:      :             +---------+                     :
: で   :        兄座 、客座                    :
: い   :     +-------------------+                :
:      :     :    どま(=玄関)   :    馬屋   : 
+------+--------+    南     +----------------+
つまりは、家で最も神聖な場所は西の仏間です。 西方浄土を眺めやる部屋です。 その横、つまり仏間の東横、という意味の 横座なのです。 仏間に次ぐ尊い場所という意味です。 囲炉裏の西横だから横座なのではありません。 囲炉裏から見た場合は横座が正面の座、 その奥には仏間があるという訳です。

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