飛騨方言ではキノコをコケというのですが、
皆様はおそらく、では苔の漢字を充てるのですね、
とお感じでしょう。また飛騨人の感覚ではキノコも苔も
区別がないのですか、ともお感じのはず。
筆者なりに考えますに、やはりこの奇妙な言い方は
古語に由来するからであろう、と考えたい所です。
つまりは、古語辞典に苔が記載されていますので
古来からの日本語である事は書かずもがな、
つまりは飛騨方言とて古来から苔はコケと
呼んできたに違いありません。
一方、キノコですが三省堂新明解古語辞典には
記載がありません。つまりは近代の言葉、極めて
新しい言葉であり、キノコに相当する古語は、タケ・茸、
です。現代でもマツタケといいます。平家物語には、
無塩のヒラタケ・平茸、の記載があります。
つまりは中世あたりまでは、タケ茸・コケ苔、の
日本語だったのですが、飛騨方言では、コケ茸・コケ苔、に
なってしまったという次第です。キノコは新しい言葉、
江戸時代ころからの言葉でしょうか、ところが既に飛騨方言では
コケになっており、明治時代あたりにようやく
飛騨でもキノコともいうようになったのでしょうか。
余談ですが、キノコは木の子が語源でしょうね。
竹との混同を嫌ってキノコというようになったのでしょう。
飛騨ではジメジメとした谷に自生する茸・苔を区別せずに
呼ぶのは不思議と言う事で冒頭の命題に戻ります。
さてキノコを飛騨方言でいうと木のぼぼ、という事で
しょうが、佐七の造語と言う事でしゃみしゃっきり。
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