大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

イヌタデの飛騨方言

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私:イヌタデ犬蓼はタデ科の草本。飛騨方言では、というか、久々野町の方言では、えんだて。"くぐのの唄と祭ばやし"・昭和61年刊行、の238頁に記載がある。
君:"くぐのの唄と祭ばやし"。よくそんな本を持っているわね。
私:民俗学見地というのかな。生まれが生まれだけに。佐七は飛騨の寒村の農家の長男。日本の方言学者のご出身を調べた事がある。皆様が田舎のご出身だ。例外が、大御所の故・金田一春彦先生。生まれも育ちも東京のお坊ちゃんでいらっしゃった。
君:それは置いておいて、久々野町の方言では、とはどういう事かしら。
私:あれこれ調べたが、えんだて、はこの本にしか書かれていない。つまりは近隣の村々ですら、えんだて、は書かれていない可能性がある。
君:つまりは、えんだて、の語源は不明ね。
私:語源なんて簡単な事。えんだて、の語源は、いぬたで。つまり、久々野方言・えんだて、の生成原因は、共通語・いぬたでの音韻変化。つまりは、簡単な言葉で一言、なまり訛です。語源はイヌタデのそれと同じ。草木でイヌが接頭語につく場合は、やや小さめのものを示す。巨木の名前にイヌはあり得ない。
君:なるほどね。それに、いぬたでより、えんだて、のほうが確かにいいやすいわ。言葉は、言いやすい方向にどんどん変化していくけれど、意味は変わらないのね。
私:なんだ、わかっているじゃないか。その事をソシュール学説と言うんだよ。
君:あら、そんな簡単な事だったのね。
私:その通り。それに言いやすさについてだが、ライマンの法則がある。
君:外国人のお名前ね。言語学のお話かしら。
私:とんでもない。列記とした日本語の法則。別名が連濁の法則。回転+寿司で、かいてんずし、と濁る現象。かいてんすし、かいてんすじ、かいてんずじ、これらは全てアウト。これを発見したのが明治に来日した米国人鉱山技師の名前にちなんでいる。ここ
君:なるほど。だから、連濁の法則に反する共通語の音韻は話しにくく、久々野町の方言は連濁の法則に従つているので話しやすい、とも言えるわね。
私:そう。えんたで、と言っていたのが、いつの間にやら、えんだて、になったという事なのでしょう。
君:なるほど、更に一言付け加えると・・・えんだて、は、えんだで、でもえんやで(いいのだから)。ほほほ

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