当サイトではサ行イ音便を始めとして、飛騨方言の動詞の音便についてざっと70−80本の記事を書いています。正直申しますと、何を書いたか整理がつかなくなっています。ところで、ワ行五段動詞のウ音便なんて飛騨方言にあるのだろうか、というお話をしましょう。飛騨弁入浴心得レトロ手拭い(楽天)の通りですが、・・お湯が熱いとかぬるいとか文句をそうて・・のくだりですが、そう、というワ行五段動詞ですが、飛騨方言では、かつてよく話されていたと思います。ただし、高山市を中心とした標準的な言い方としてはワ行五段は普通は促音便になり、ウ音便は用いられません。ウ音便で話すと、わざと関西方言で話している、と誤解されかねないでしょう。私が生まれ育った村は旧高山市とは小さな山を一つ隔てて、すぐの場所です。その小さな山を昇りつめて高山盆地を眺めると高山市の石浦地区がよく見えます。親戚一族郎党は多くが高山市に住み、私の生まれ育った村での会話をはじめ、ワ行五段のウ音便は一切、聞いた事がないので、このレトロ手拭いの記載を見て少しばかり驚きました。
もったいぶらずに結論をお書きしましょう。飛騨地方は面積が香川県の数倍で、とにかく広いのです。しかも山また山の地方です。雪深い地方でもあり、平家の落人伝説がそこかしこにあるような土地柄です。ただし手元の資料をあれこれ見ましたが、飛騨方言におけるワ行五段の活用については不明と言わざるを得ませんでした。ただし、こっともない、という別の単語がヒントを与えてくれました。ネット発信もありましたが、北飛騨、つまりは神岡・船津・福地・上宝あたりで話されていた言葉のようです。あくまでも推察の域を出ませんが、平家の落人の末裔がいらっしゃってウ音便が今に残っているという事でしょうか。
平家の落人伝説といえば白川郷ですが、京言葉のようなものが白川郷に残っているべくもありません。私の今の気持ちは春日三球・照代の漫才夫婦、地下鉄はどうやって地下にいれたのか、と同じ心境です。
★飛騨方言では必ずワ行五段動詞は促音便のはず。 ★飛騨弁入浴心得レトロ手拭いに書かれているワ行五段ウ音便は誤植ではないだろうか。 ★あるいは飛騨方言でも、そう、という動詞だけは連用形ウ音便の活用をする部落があるのだろうか。なにせ飛騨は広い。 ★もしそうなら、その部落というのはもしかして平家の落人の末裔が京言葉を話していらっしゃるのか。 ★私の生まれ育った村ではワ行五段ウ音便なんて絶対に使わない。私の村は平家の落人の村ではありえないですね。
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