大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

きったて

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私:少々気障な言い方になって申し訳ないが、こうやって毎晩のように記事を書いている事は僕の国語コンプレックスの解消に役立っている。
君:コンプレックス?
私:大学受験。
君:他教科は?
私:楽勝が数学。百点以外取った事が無かった。英語も。国語だけは模試で納得できない点数を取る事が時にあって。文学部にだけは進学したくなかった。
君:今はどう?
私:実は50年前の高校時代のノートを持っている。愕然だね。
君:どういう事?読み直して、どの程度覚えているか調べたのね。
私:うん。数学がちんぷんかんぷん、当時の僕は素晴らしい数学脳だったのだろうね。ぶっ
君:国語は?
私:これが痛快。全てわかる。左七の古文の知識も50年前から進化していないという事か。嗚呼
君:前置きはさておいて、「きったて」とは?
私:早速に本論だが、当サイトを運営するようになって辞書コレクターになってしまった。今は黙々と辞書の頁を繰るのが楽しい。「きったて」は「切りたて・切立」の事。古語辞典では、竹または松を切り、縦飾りとする事(北山行幸記/応永十五年(1394))。あるいは、仕立てたばかりの着物。仕立て下ろし。(客衆一華表(寛政年間))。切立鞘(きったてざや)と言う言葉もある。鳥毛を短く切って立てた鞘の事(浄瑠璃・薩摩歌1711頃)。
君:飛騨方言とは関係ないわね。
私:そういうだろうと思った。「〜たて」の言葉を調べたんだよ。接尾語「たて」はあらゆる動詞の連用形に接続詞して「〜したばかりのところ」という意味の体言になる。あれこれ調べたが、「切ったて」「掘っ立て」「すったて」、日本語としてはこの三者以外に促音便の用例は無い。従って「切る・掘る・擦る」を称して連用形促音便三「たて」兄弟と名付けたい。ぶっ
君:ほほほ、三つは共に五段動詞ね。ラ行動詞という共通項もあるわよ。
私:おっ、するどいね。動詞は多しといえども、何と言ってもラ行動詞が多い。数千個あるだろうな。五段(四段)以外で連用形促音便は、・・うーん、パッと思いつかないね。三「たて」兄弟を見つけるのも苦労した。全国の皆様へ、お暇ならお調べくださいませ。
君:促音便というのはスピード感がある言い方、という事で「きったて」「ほったて」は説明が不要だわね。白川郷の「すったて汁」は?
私:とてもいい質問だ。大豆をささっと擦って作る料理だそうだから。保存が不可。従って流通しない。白川郷に出向いて味わうしかない。三「たて」兄弟の共通項は、五段、連用形促音便、ラ行動詞、スピード感。以上の四項目。
君:「すったて汁」はこつを教えてもらえば帰宅後は自分で作れるわね。
私:その通り。体験教室もあるそうだ。話が変わって、コーヒーは好き?
君:ええ、まあ。あなたも?
私:中毒だな。これが無いとやっていけない。ストックは常にある。オートバイのツーリングにも一式、持っていく。野立てのコーヒーの美味しい事。気分はカウボーイ。

君:どうして急にコーヒーの話?
私:名古屋は僕の第二の故郷だ。大須万松寺にある松屋コーヒー。名古屋のコーヒー通ならお知りのはず。
君:歴史があるのね。
私:僕が学生時代(1972-8)、よくテレビで宣伝していた。「煎りたて曳きたて、松屋のコーヒー」。
君:なるほどね。大西村の事や、学生時代の事や、要するに左七は昔が懐かしくて仕方ないのね。ほほほ

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