大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム方言学<

四段活用と五段活用、その三

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佐七:飛騨方言は四段、名古屋・岐阜方言は五段、という事を別稿・四段活用と五段活用に書いたが、まだまだ、疑問は続くんだよ。
家内:また同じ書き方ね。理屈は後回しで、どんどんと例文を出したほうがいいわよ。
佐七:ほいきた。つい先ほどだがネット検索していて高山グリーホテルのキャンペーングッズ、飛騨のたばるチケット、というのを発見した。街歩きに必須、千円で千二百円分のお得なチケット、というものらしい。ご興味あるかたは https://www.takayama-gh.com/tabaru/special/tabaru_ticket/ へどうぞ。 hyper-reference つまりはクリック一発で皆様を誘導するのはもうやめようと思う。いつまで続くキャンペーンかわからないので、つまりはこの場所に重要情報を書かないと幻の情報になっちゃうから。
家内:だから、たばる、にビビッときたのよね。結論をすぐ書いてちょうだい。
佐七:ほいきた。たばる、は飛騨方言で、たべられる、という意味。飛騨方言ネイティブなら誰でも知っている言葉。
家内:あらそう、名古屋には無い言葉。たばねる、の意味かと思ったわ。十枚つづりとか。
佐七:ははは、なるほど。たばねる、か。そんな発想ができる女性と四十年近く夫婦でも、お互いに知らない事がまだあったんだね。「たべる」を五段活用してしまって「たばる」の言葉になったんだから、これは方言学上は四段活用動詞の五段化、という現象なんだよ。
家内:大発見のようね。食べる、って確か下一段の他動詞、中学校で習ったわね。
佐七:その通り、下一の五段化、このような動詞群が飛騨方言に存在する事を僕は認識した。広辞苑から他下一を洗い出して内省、つまりはひとりブツブツととなえてみたい気持ちになってきた。このネタで十や二十のお話が書けるぞ。
家内:よかったわね、でも、あなた、方言サイトを十五年も休んでいて、そんな昔のこまごまとした事がよくおぼわってるわね。
左七:・・・おい、お前、いま何て言った!!!
家内:なによ、急に、そんな大声で。びっくりするじゃない。おぼわる、って言っただけよ。あなたの記憶力にちょっびり感心しただけ。
左七:ふふっ、君は言葉に対する感受性が僕よりちょっぴり足りないな。「おぼわる」も下一の五段化だぜ。国語では、おぼえられる。
家内:えっ??あっ!!
左七:そうなんだよ。おぼわる、も飛騨出身の僕も使うが、名古屋の君も使う。つまりはギア方言。
家内:ギアって何の事?
左七:岐阜と愛知でギア、両県で共通の方言を示す。カタカナだし、なんかカッコいい表現だよね。正式な学術語にしては。
家内:いいから、結論をどうぞ。
左七:では。★四段動詞の五段化活用は実に方言らしい言い方。★これをラ上一で使うと九州方言。e.g.おきる->おきらん★これを下一で使うとギア方言。飛騨方言はその代表。★下一の五段化動詞は名古屋より飛騨のほうが多い可能性がある。なぜなら君は、おぼわる、を使うが、たばる、は使わない。
家内:はいはい、よくおぼわりました、じゃなくておぼえられました。五段化、ギア、の学術語まで覚えさせられちゃったわ。

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