大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 言霊

ほんこさま・飛騨人の言霊思想

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ほんこさま、とは浄土真宗の大切な法要行事、報恩講(ほうおんこう)が訛った言い方、 つまりほうおんこうさま、が語源ですが、名古屋市中川区富田町の 一音山行雲寺記事によりますと、 地域により「お取越(とりこし)・お仏事(ぶつじ)・報恩講さま・ほんこさま・お七夜(しちや)・お引上(ひきあげ)」等々の 敬称で云われているそうです。 私のネット情報調査では、ほんこさま、は石川県、富山県、岐阜県など中部地方からの発信が多いように思います。

さて本題ですが、飛騨方言の特徴として、職業名を〜さ、で呼びます。 別稿・(職業)さ(あ)・飛騨方言をご参考までに。 例えば、染め物屋はこうやさ、です。 また屋号は家長名+"さ"です。 別稿・屋号も方言をご参考までに。

もうお気づきですね。職業名〜さ、屋号〜さ、ともに敬称である事には違いないのですが、 報恩講の敬称・さま、が明らかに上位です。 だいくさま、さしちさま、という言い方では敬い過ぎになってしまい 飛騨方言としてはおかしいと言い換えることもできましょう。

更には各地の方言がおそらくそうなのでしょう、 容易に納得していただけると思いますが飛騨方言では、 (1)寺社そのもの、(2)あるいはそこに働く人、 (3)あるいは寺社の行事一般、以上の三者ですが、必ず敬称・さま、が用いられ、 略称・〜さは用いられません。 例えば、お寺様( =寺そのもの、あるいは住職 )、高山別院様、佐七が檀家の長円寺様、 大西村の熊野神社様、隣村の氏神様、ぼうさま、ほんこさま、などといいます。 決して略称・〜さは使いません。

ところが可哀相なのが神主さんです。ねんさ、といいますが"禰宜さ"が訛っただけ、 つまりはなんと呼び捨てです、おいおい。つまりは、飛騨では、 ねぎさ、が言いにくくて上代には、ねんさ、に訛ってしまい、 これを後代には、ねんさま、の略称と勘違いしてしまっている、 つまりは呼び捨てにしている事に気づいていないのです。 やはり、ねぎささま、とお呼びするのが正しい飛騨言語であると 筆者は断固として主張します。

尚、飛騨方言では逆説的な言い方は全く無いでしょう。 オウムがやってくる、とは言っても、オウム様がやってくる、 と言う事は無いと思います。 また同一人物でも、例えば恭しい最上級の敬称、さま、で最初は迎えられたおよめさま、も いずれやがては、およめさ、よめさ、ついにはよめ、と呼び捨てにされる 飛騨方言かもね、という事です。

結びですが、訛りの多い飛騨方言ですがきちんと、さま、と呼ぶ場合は 愛の言霊として特別の情感が込められているのです。 更に飛騨方言で実証します。じさま、ばさま、とっつぁま、 ここまでは良いとして、なぜか突然に、かかさ。封建制で少し男尊女卑です。 言いえて妙と言う事でしゃみしゃっきり。

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