岐阜県高山市一宮ノ町に位山・くらいやまがあります。
モンデウスというスキー場があります。
また別稿・一位一刀彫(いちいいっとうぼり)
に、ここに自生するイチイの木で作られる
歴代の天皇に献上される笏(しゃく)を記載しました。
つまりは、位山の名前の由来も、イチイという木の名前の由来も
位階の正一位にちなんで、聖武天皇から賜った名前という事なのです。
何の変哲も無い山、さりげなく自生している木ですが、
このような名前の由来があるというを良く知る一ノ宮の村民にとっては
ただつぶやくだけでも気持ちが和む厳かな山の厳かな木という事に
なりましょう。
さて2006年春に下呂市で全国植樹祭というにぎやかな
催しがあり、平成天皇が植樹されたのがイチイであったという事には
このような意味があったのかと読者の多くは既にお気づきでしょう。
あるいは天皇がニイ、サンイでは可笑しい事は小学生でもわかりますね。
イチイは全国に自生しますが、飛騨の位山から名前をいただいている
という事は、或いは私個人とは言え飛騨の人間にとっては実に痛快な事です。
例えば、伊勢海老が銚子沖で採れる事もありましょうが、
どこで採れようが伊勢海老は伊勢海老、銚子沖なら千葉エビとは言いません。
三重県出身者の方は例えば、日本海の伊勢海老の方が銚子沖のものより
美味しいよ、という言葉を若し聞かれるのなら、どこで採れようが
伊勢海老が美味しいと言われた事が嬉しくなるのではないでしょうか。
また伊勢海老は美味しいけれど千葉エビでは安っぽい味の感じがしませんか。
さてイチイは別名・アララギ。
そして短歌雑誌『アララギ』の
歌人達・アララギ派、伊藤左千夫、斎藤茂吉、島木赤彦、土屋文明ら
ですが、何故イチイ派を名乗らなかったのでしょう。
イチイ( =ナンバーワン )を名乗るのは畏れ多く、遠慮して、という事でしょうね。
がしかし、アララギ=イチイです。彼らには
強烈な正統派意識、ナンバーワンの意識があったとお思いになりませんか。
しゃみしゃっきりでした。
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