大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
すけ助(=労力互助) |
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私:飛騨方言の、すけ助、は、たすけ助、からきた言葉かな。語頭の一モーラの脱落。短呼化。意味としては、村内で一斉に行われる義務的な労力互助。葬儀、耕作、建築、その他非常変災など。 君:つまりは、たすけ助・助っ人、という事で、どちらかというと互助(の精神)という事ね。 私:そう。村の人々は大半が貧しい。助け合っていかなきゃ生きていかれない。先人から引きついだ生活の知恵だね。この手の同意語は飛騨方言には多い。仲間(共同、共有)、てまがわり手間代、よりあい寄合、ゆい結、等々。これらは勿論全国各地の方言。 君:ほほほ、徹底的に助け合う精神ね。そこが田舎のいいところかしら。 私:都会は人間関係が希薄だからなあ。それもまた都会のいいところなんだが。ところで、すけ助、は多義語。飛騨では専ら労力互助に用いるようだが、全国ともなるとそうでもない。理由は何? 君:具体語ではなく、抽象語だからよ。あなたのいつもの論法。 私:観念語に内包される概念かな。時枝先生だったっけ。国語学原論。ソシュール言語学から出てきた言葉だよね。言い出せばきりがない。たすける、という動詞の話に限ろう。和語動詞に、すく動カ下ニ、があり助力するという意味。文例は記歌謡14。たすく、がその後に出来て、た手+すく。つまり、手を差し伸べて助力するという事。すけ助、は、すく動カ下ニ、の連用形で体言になったもの。となると語頭の一モーラの脱落、短呼化、というのは嘘という事になる。 君:どうでもいいわよ。両論併記がいいわ。ほほほ |
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