大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム飛騨方言回文

究極の飛騨方言・飛騨方言回文コーナー

飛騨方言について論ずるのに、どうしても回文(頭から読んでも、お尻から逆に読んでも同じ読みになることば遊び)のジャンルを省略はできません。 小学校の時など、時にこれで遊びましたが、"象君パン食うぞ"、"私、負けましたわ"など、どういうわけか共通語ばかりでした。 高校で古典をかじりましたが、
"杉切った山の木(こ)の間(ま)や、立つきぎす(きぎす=きじの古名)"、
"長き世のとおのねぶりの、みなめざめ、なみのりぶねのおとのよきかな"
などを教わりました。ところで、おおっ、眠りを"ねぶり"とは、これこそまさしく飛騨方言の回文ではござらぬか!!! まことに当コーナーの開設に持って来いの回文です。

さて回文を完成させるには相当な忍耐力、というか要はひま、が要ります。 一時間考えてもひとつも思い浮かばない事もありますし、 立て続けに二つ思い浮かべられる事もあります。体調が大切のように思います。


やきびてびきや
この回文ですが、やけどの手引き書です、という意味になります。 飛騨方言では名詞・やけど、は、やきび、です。 例えばメルクマニュアル家庭版・やけどの応急処置 などのサイトがヒットします。 メルクマニュアルというのは世界で一番よく読まれている医学書です。 それを噛み砕いて書いたのがこの家庭版です。 極めて信頼できる内容です。


くぐの(久々野)のくく(九九)
この回文ですが、2005.1.31 まで大野郡久々野町でありました現高山市久々野町の地名から拾っています。 同町は高冷地野菜を出荷する高原野菜で有名な町ですので久々野町の九九と言えば、当然 8x3=24(野菜は24)となります。

久々野は私の先祖のゆかりの町なのですが、この町のすごいところを おまけに一つお披露目しますと、町の郵便番号は部落ごとに細分された形であり、 また各部落といってもせいぜい数十軒なので、従いまして郵便番号+屋号だけで郵便が各戸に配達可能なのです。 つまりは、例えば国内なら 〒509-0257佐七宛 でオッケーです。当然ながら   Mr. Sashichi zip 509-0257, Airmail to Japan  と書くだけで 世界のどこからでも佐七さんちに郵便が届くというわけです。
下呂(げろ)でロケ
古川(ふるかわ)は和歌、流布(るふ)

この飛騨方言回文は、どこが方言回文かというと、 固有名詞、下呂、古川 を用いていますので、一応パスとしましょう。 私、大西佐七は常に公平、平等をモットーとしています。高山そま館だけではいけない、 下呂市民の方々や飛騨市民(古川)の方々にも十分に敬意をお示ししたいのです。 ところで、下呂でロケ といえば、赤カブ検事で何か温泉殺人事件の巻きがありましたっけ? 古川は和歌、流布 というのは、古い町だからきっと和歌がさかんだろうという、私なりの想像です。
(まぼろしの)たかやまそまやかた
この飛騨方言回文は、どこが方言回文かというと、飛騨高山という固有名詞がある事です。 飛騨方言以上の存在、飛騨そのものという回文です。 意味は 高山にある、そま(=杣、きこり)のやかた(館) になります。 その所在地ですが、わかる人にはようわかる、(ズバリ言いますと) 飛騨民族村、飛騨の里にそまの館がある(らしい)、という事にしましょう。 無きゃ、幻の館を作る予定という事にしましょう。
ばばのばば
この飛騨方言回文は、馬場さんちのお婆さん、あるいはお婆さんのお婆さん(つまり ひいお婆さん)という ありきたりの意味ではなく、ここ回文コーナーにわざわざ紹介しなくてはならない、ショッキングな意味が あるのです、要は (便秘でお悩みの)お婆さんの@@ という意味ですが。そういえば、当サイトの  飛騨やんさの紹介コーナー に 五ヶ村音頭(いわば表の替え歌) を 紹介しておりますが、実は他に活字にはならないアングラソングがいくつもあり、私の祖母が幼い私に歌って聞かせたものでした。例えば、
美人、美人と、いばるな美人♪♪ (どっこいしょ♪♪) 
鉈(なた)で切るような@@たれる♪♪
(はあ、えんやさあのえんやさあの、どっこいしょ♪♪)
うーん、私、匿名でも恥ずかしさがこみ上げてまいります。 若し、私めがいずれ実名を公表する場合ですが、まずここの箇所を削除してからにします。
すぎ(杉)のま(間)のぎす
飛騨方言名詞"ぎす"ですが、きりぎりす の意味です。 ぎす+方言のキーワードでいくつかヒットしますが、鳥取方言では ぎす とも ちょんぎす とも言うようです。 ところが 飛騨方言 では ぎすちょん とも言いますので、おかしいですね。 ややこじつけの回文ですが、杉木立の中のキリギリスという鳥取方言・飛騨方言共通方言回文でした。
てきないくいな(水鶏)、来て!
飛騨方言形容詞"てきない"ですが、つらい、苦しい という意味です。 動物園を巡回中の獣医さんが、水鳥の檻にさしかかり、見たところはどの鳥も元気そうだけれど、 念のため、飛騨方言で鳥たちに向かって声をかけたのでした。
ねぶいイブね
飛騨方言形容詞"ねぶい"ですが、眠い という意味です。 アダムはともかく、眠くてしょうがなさそうなイブをみて、誰かが飛騨方言でつぶやいたのでしょう。 ところでアダムといえば有名な英文の回文がありますね。
Madam, I'm Adam. (= 奥様、私がアダムです。)
そして飛騨方言の回文ではイブでした。飛騨方言はなんとまた国際色豊かな言語なのでしょう。
ねぶかのかぶね
飛騨方言名詞"ねぶか"ですが、ねぎ の意味です。根っこごと掘り出したねぎをみて "ねぎの株(なの)ね。(始めて見たけど立派な株ね)"と言った回文ですね。
なんにも煮(に)んな
飛騨方言では、煮るな(煮てはいけない) を にんな と活用しますので、沢山の魚をすべて 刺身で食べたい時に、思わずこの回文が出る事でしょう。 別稿・飛騨方言におけるラ行動詞の撥音便 を参考にどうぞ。
たいてでない胃、撫でていた
飛騨方言形容詞"たいてでない"は 大変な という意味です。 この回文は、食べすぎか何かでどうにもこうにも苦しくてしかたない胃をさすっていた という意味の回文です。 
たいもないくいな(水鶏)もいた
飛騨方言形容詞"たいもない"は 大変な、とてつもない という意味です。 (池には、白鳥やら、)とてつもない水鶏もいた(そうましい(=やかましい)事だった) という意味の回文です。
すまのます(枡)
飛騨方言"すま"は共通語"すみ(隅)"の意味です。台所などで、隅っこにある枡 という意味になります。
さや、腰のしこやさ。

ポイントは"しこ(名詞)"という飛騨方言ですが、格好、様子、状態など多様な意味で用いられます。 これをネットで"しこ"+"方言"で検索しますと、約三万件ヒットしますので、頭が錯乱してしまいます。 なにせ飛騨方言ですら、多様な意味を持つことば、しこ、です。

まず、格好の意味での文例は、"なんや、わりゃそんなチンドン屋みたいなしこして。笑われてまうぞ"ですが、 "なんだい、お前はそんなチンドン屋さんみたいな身なりをして。笑われてしまうぞ"という意味です。 チンドン屋さん、御免なさい。私、あなた方をとても好きです。

様子の意味では、"運動会は、小雨のしこ(=小雨模様)でもやるそうやで、弁当は準備せにゃ。"がいい文例です。

状態の意味では、古川出身飛騨のざいごささんの辞書にありますよう、"おりが、悪いしこで、謝らならんのやさ" とありますが、"私が悪いというお話になってしまっているそうだから"の意味になります。

さて上記の回文例ですが、さやちゃんが体調が悪く入院してしまいました。 彼女の友達同士の会話をお示しします。
A子"さやが入院したってなあ。何科やな?"
B子"何、知らなんだのか。整形外科やよ。"
A子"整形外科!骨折かな?!"
B子"おりぃもはっきりは知らんのやけどナア。 さや、腰のしこやさ(=さやちゃんは腰が悪い状態らしいのよ)。ぎっくり腰ってことなんでないやろか。"

旦那、書かなんだ。
飛騨方言での動詞の活用ですが、"〜しなかった" は "〜しなんだ"になります。 他に用法としては"種をまかなんだ"、"映画にいかなんだ"、"空中に浮かなんだ"、 "たばこの火を消さなんだ"、"財布を落とさなんだ"などがあります。 この回文は"旦那さんが(筆不精で手紙を)書かなかった"という意味です。
いかんさ、まんま三回。
飛騨方言で"いかんさ"は、いけませんよ という意味で、"まんま"はご飯の事です。 つまりはご飯のお代わりは二回までならよろしい、三回目はだめですよという意味です。 まさに川柳にあります、居候、三杯目はそっと出し、に対しての返事の回文といえます。
だちかんとんかちだ。
"だちかん"ないし"だしかん"は、だめな、らちがあかない という意味の飛騨方言です。 金槌(かなづち)のことを"とんかち"というのは、飛騨方言でしょうか、 はたまた旧日本語でしょうか、現日本語でしょうか。 柄が曲がっていて、使い物にならない金槌を見て、"だめな金槌だ"と飛騨方言で言っているのです。
ぼぼ。
 飛騨方言で赤ちゃんの意味ですが、ひとつの単語自身が、回文、いや回語になっています。
まんま。
 飛騨方言で、ごはんの意味です。
いずまはまずい。
 飛騨方言の"いずま"は、あぐらの意味です。あぐらをかく事を"いずま(を)かく"といいます。 男はともかく、(女性が)あぐらをかくのはまずいので、これを飛騨方言に言い換えると回文になります。
山のまや。
 飛騨方言で 馬の寝床、つまり厩(うまや)の事を"まや"といいますので、山の中にある馬の寝床です。
まんま食いに山のまやに行くまんま
(さぼり屋・佐七が帰って来ない)。
 上の文章をちょいとひねっただけですので、 ひんしゅくを買うかも知れませんが、お披露目します。"まんま"はご飯、"まや"は厩(うまや)ですから、 ご飯を食べに山の中にある厩(うまや)に行ってしまったきり(さぼり屋・佐七が帰って来ない) という飛騨方言回文フレーズです。