ラ行動詞とは末語・る、の動詞です。
表題ですが、禁止の意味の終助詞・な、が終止形に接続する場合にのみ発生するようです。
勿論、飛騨方言では禁止の終助詞・な、で必ず撥音便になるという意味ではありません、
撥音便であっても飛騨方言のセンスにあうという意味です。
あるいは佐七のかってな思い入れながら、撥音便のほうが俄然、飛騨方言らしくなる
と書き添えましょう。例えば、
飛騨方言の言い回しで
動詞 撥音便が
種類 無し あり
−−−−−−−−−−−−−−−−
四段 やる やるな やんな
上一 見る 見るな みんな
下一 寝る ねるな ねんな
カ変 くる くるな くんな
サ変 する せるな せんな
話が簡単なのが上一、カ変、サ変の三系統の動詞でしょう、
撥音便化してもすべて飛騨方言のセンスにあうようです。
蛇足ながら、こんな、といえば、こないてすねえ、という意味で、
くる未然形
+否定の助動詞・ぬ、の撥音便
+詠嘆の終助詞・な
という事でしょう。
くるな、という意味はありません。来るなという意味で、こんな、と使用した場合ですが
会話の流れで意味が十分通る事もありましょうが誤法という事になりましょう。
それはさておき、問題は四段と下一ではないでしょうか。
例えば四段ですが、"そんなことをやんな(=やるな)"とはいいますが、"草を刈んな"とはいわないように思います。
いわんや自動詞をや、足りてはいけない、という意味で、
"足んな"とはいわないでしょう。
次いで下一ですが、"授業中はねんな(=寝るな)"とはいいますが、"ボールを蹴るな"とはいっても、
"〜蹴んな"とはいわないと思います。
動詞の種類によるという意味でしょうが、
私自身が興味を持ち始めたばかりで知識は未整理です。
推察しますに何か規則があるというよりは、単なる口調という事ではないでしょうか。
興味あるのが、飛騨方言におけるサ変動詞・せる、です。
しないという意味で打ち消しの助動詞・ぬがサ変未然形に接続し、例えば"勉強せん。(=勉強しない。)"と言います。
ところが"勉強せんな。"と言う飛騨方言は、単に、せるな、の撥音便であり、
しない事を禁止する、つまり、するよう強要する、という意味ではありません。
(=よかったですね、今日は遊びなさい。)
参考記事
飛騨方言の変な言い回し・おんなぁおんな
飛騨方言の回文・なんにも煮(に)んな