大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

飛騨方言・〜せんならん、〜せならん

戻る

飛騨方言のサ変動詞は せるですが、 飛騨方言の二重否定表現に、〜せんならん、〜せならん、 があります。意味は、〜しなくてはだめだ、という二重否定です。 言葉の変遷をお示しします。
          現代語や否や
〜せぬにやならぬ。 いいえ
〜せぬにやならん。 いいえ
〜せんにやならん。 いいえ

〜せんにゃならん。 はい
〜しんにゃならん。 はい
 ▼○○ ○○○

〜せんなならん。  はい
〜しんなならん。  はい
 ▼○○○○○

〜せんならん。   はい
〜しんならん。   はい
 ▼○○○○

〜せならん。    はい
〜しならん。    はい
 ▼○○○

〜せな。      はい
〜しな。      はい
 ▼○
以上の通り現代語で十通りもあります。 頻用されるのが、せんならん・しんならん、あたりでしょうが、 個人でもゆらぎがあるのでしょうね。 つまりは、 いつもガミガミとお子さんに怒るお母さんは
夏休みゃすんと終わってまうんやで、はよう宿題せな。 (=夏休みはすぐに終わってしまうのだから、早く宿題をしないと。)
と言う事で、せな・しな、あたりを頻用されるでしょう。 何せ二拍ですから、究極の飛騨方言二重否定表現です。 せんならん・しんならんもご参考までに。 初拍にアクセント核があれば二重否定に必ずなるか、と いうわけでもありません。 例えば、せんでもええ▼○○○○○(=しなくてもよい)、と否定が一回の事もありましょう。
付記 一重肯定 

はよう勉強せ!、と一拍になると飛騨方言一重肯定に逆戻りです。
          現代語や否や
〜せよ。 はい
〜しよ。 はい
 ○▼

〜せい。 はい
〜しい。 はい
 ▼○

〜せ。  はい
〜し。  はい
 ▼

ページ先頭に戻る