共通語・する、に相当する飛騨方言動詞が、せる、であり、
これに対応して、共通語の敬語表現・〜される、は、飛騨方言では、〜せらる、を活用して用いる
と解釈する事で、飛騨方言の尊敬表現の一部が説明可能です。
また一方、代表的京言葉・〜しはる、も飛騨方言で用いられます。
飛騨方言 共通語
未然 挨拶しはらずに 挨拶されないで
挨拶しはらんと
連用 挨拶しはって 挨拶されて
終止 挨拶しはる 挨拶される
連体 挨拶しはる 挨拶される
仮定 挨拶しはりゃ 挨拶されれば
命令 挨拶してくれんさい 挨拶されませ
名詞+する、の形の動詞の活用における飛騨方言の尊敬表現は
名詞+せらる、ないし、名詞+しはる、の二種のパターンがありそうです。
飛騨方言で、挨拶しはらんと帰られた、と言えば、挨拶をまさにしようといて急ぎ岐路につかれた、
と言う意味ではなくて、挨拶もせずに岐路につかれた、という意味になると思います。
仮定形ですが、〜しはれば、が飛騨方言として不自然という訳ではありません。
がしかし、音便化するのが普通のようです。
命令形として、挨拶しなはれ、というのは
飛騨方言としてはやや不自然のように筆者としては感じます。
挨拶しはれ、というのは飛騨方言としては明らかに不自然です。