飛騨方言をキーワードにあれこれネット検索していますと、
ブログ記事が目に留まりますが、飛騨方言の若者言葉ですから、
おやっと思う事があるのです。
今日もですが、さるブログ記事で、"仕事しな。仕事しなだしかん。"
というのがありました。
筆者はこの言い方に抵抗を覚えます。
私ならさしずめ、"仕事せんにゃ。仕事せんにゃだしかん。"と言います。
意味は、仕事をしなくては。仕事をしなくてはだめだ、です。
またアクセントは、しな●○です。
しなだしかん、とは私の耳にはモダンな言い方に聞こえます。
もっとうがった考え方をお披露目しますと、テレビのアサヒドーカメラの
宣伝、いかないかん(=いかなくてはいけない)、の影響による若者言葉でしょうか。
この歌詞は名古屋が本社の量販店による名古屋方言のキャッチコピーです。
品詞分解して、この言い方の歴史を解き明かしましょう。
せんにゃだしかん、の元の言葉は、せぬにやらちあかぬ、です。
せ サ変動詞せる、の未然形・せ
ぬ 打消しの助動詞・ず、の終止形・ぬ
に 断定の助動詞・なり、の連用形
や 疑問の係助詞・や
という事ですね。
尤も、しなくては、という一塊の意味として使用されますので、
飛騨人がいちいち文法を考えながら話しているわけではありません。
そして、言葉の変化ですが、せぬにや>せんにや>せんにゃ、という事です。
さらには進化した言い方、つまりは、せんにゃ>せにゃ>せな、
という言い方が現在既にあるかも知れません。
さて、しなだしかん、という言い回しですが、
しぬにや>しんにや>しんにゃ>しにゃ>しな、と
変化してきたのでしょうか。勿論、その可能性もありますが、
やはり冒頭に戻って、アサヒドーカメラの宣伝の影響で、
いかないかん、と言うくらいだから、しないかん・しなだしかん、
と若い人が最近、突然に言い出した可能性もありますね。
しゃみしゃっきり。
参考
飛騨方言におけるサ行変格動詞・せるの未然形に接続の特異形・しぬ