ネット名・ねさま、のブログ・ちょこっと高山がヒットしました。
飛騨方言の動詞命令形の言い回しとして
「はよ、しね。」
「はよ、起きね。」
「はよ、寝ね。」
「はよ、食べね。」
が紹介されています。
この言い回しの特徴といえば、(1)女性が用いる言葉である事、
(2)近年、あるいは平成の時代になってから用いられるようになったらしい、
と言う事でしょう。
文法的には、動詞連用形+ね、という事は書かずもがな。
つまりは、しね、という言い回しは、サ変動詞未然形+ね、
ではありません。
上記文例は戦後までは、しないよ、おきないよ、
ねないよ、たべないよ、と言われていた事も
書かずもがな、詳しくは飛騨方言における動詞活用:命令形概説・女性編
をどうぞ。
江戸時代あたりは、しなされよ、と言っていたのでしょうか。
つまりは結論としては飛騨方言では、女性は決して動詞命令形を
用いないのです。
がしかし、飛騨方言はモーラ方言の典型なので、
一モーラずつ脱落が生じ、例えばサ変動詞・する、に
おいては、
しなされよ>しなさいよ>しないよ>しねよ>しね
と変化してきたのですね。もとより多拍であるほど丁寧な言い回しであると考えれば、飛騨方言においては、女性の動詞命令形の言い方が何とだんだんぶっきらぼうになってきている、という事なのでしょうか。この言い回しでは、江戸っ子が言う、寿司くいね・寿司くいな、と何ら変わりませんものね。
また将来は、方言文末詞・ね、すら省略されて、
「はよ、し。」
「はよ、起き。」
「はよ、寝。」
「はよ、食べ。」
動詞の連用形が命令形の役割を果たすようになるのでしょうね。しゃみしゃっきり。