大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

花餅(はなもち)でむてんに泣けるヒアシンス

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飛騨地方は冬が厳しく、花の温室栽培が盛んなわけでなし、 冬に生花は調達できません。 そこで枝振りの良い枯れ枝に餅を小さくちぎってはりつけて花にみたてて、 盆栽のようにめでるのが花餅(はなもち)です。 また別稿の通りですが、むてんに、 という飛騨方言は無性に、という意味の副詞句です。 さて句意ですが、花餅を見るとヒアシンスを思い出し無性に泣けてくる、 とは如何に??佐七にいったい何があったのでしょう。

小学校三年の十一月末あるいは十二月に入ってからでしょうか、冬休みの課題という事で各人に自宅での水栽培用にヒアシンスの球根が 配られたのでした。

私は(というか実はお袋が)球根を日中は日向ぼっこをさせたり、 夜は寒かろうと言う事でコタツに入れたりしてせっせと世話をしていて、 なんと二学期中に大輪の花を咲かせてしまったのです。 、、本当にお袋様、ご苦労様でした。

その事実を学級でお披露目するとこれには 同級生も、担任の先生もさすがにびっくり仰天、早速に自宅の大輪咲きのヒアシンスを 学校に持ってきて見せてください、という話になりました。おお、いいとも。

忘れもしません、二学期も終わり頃・十二月でした。 明日はそのヒアシンスを学校に持っていくという晩、私はお袋に
今まで毎晩、ヒアシンスをコタツに入れて世話してもらって ほんとにすまなんだけど、今夜だけゃあ、おりゃ一人で ちゃんとやるでええさ
といってお袋の手伝いを断ってしまいました。 お袋も、佐七がそこまでいうなら、と言う事で 私がするままにまかせて寝てしまいました。 翌朝、いよいよ学校で我が家のヒアシンスをお披露目する日です。 コタツのヒアシンスを見たら、一晩中のあまりの熱さで花はものの見事に しぼんでしまっていました。泣きじゃくる私、おろおろするお袋、 まさに人生の修羅場です。 お袋はきちんとコタツの火加減を調節して毎晩、世話していたのです。 私はただ、何の考えも無くヒアシンスをコタツに入れただけ。 何せ低学年でしたから。

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