句の共通語訳ですが、
ビールをたくさん冷やしています飛騨の宿、になります。
ようけの語源は余計にあるようですが、
関西方言といってもいいですね。
また、冷やしております>冷やいでおります>冷やいどります、
と変化するのは文法に言う、サ行動詞のイ音便現象で、
これも関西方言の流れをくむ飛騨方言の特徴でしょう。
実は、もっと飛騨方言らしく詠むのではあれば、
冷やいどるさ(=冷やしているさ)、冷やいどるぜな(=冷やしているわよ)、
冷やいどるえな(=冷やしているわよ)、というような表現に
なるのですが、
これでは返って面白くありません。
飛騨の民宿のおかみさんが都会のお客さんに、
飛騨方言丸出しでお話ししてはいけない、共通語で
応対しなくてはいけないと思って、ですます調を
用いるのはいいものの、肝腎の語幹部分(=ひやいで)
は純粋な方言の言い回しであり、
結局はお国なまりは直そうにも直せない(!!!)
のがむしろ都会のお客様には可笑しくも微笑ましく
感ぜられるだろう、と佐七なりに思うのです。
もうひとつの隠れた句意をこの際はお書きしましょう。
飛騨は冬の寒さは厳しいものの夏は地域全体が天然クーラーで、
まさにパラダイスです。ビールをたくさん冷やして、と
いっても冷蔵庫は不要、民宿の外を流れる小川のせせらぎに
ビールの箱ごとドブーンと沈めたらよいのです。
(一晩冷やいだらラベルがなくなっているかも。)
スイカ(にはラベルはないぞ)にして然り、とは書かずもがな。しゃみしゃっきり。
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