大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

いいないた(=おっしゃった)

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私:おっしゃる、という意味で飛騨方言では、いいなる、という事がある。この敬語表現動詞の活用を考えると少しばかり混乱するね。
君:表題からすると他ラ五(四)「いいなる」と考えれば、いいなられた、でいいのでは、という意味ね。
私:勿論そうだが、飛騨方言では過去形では、いいないた。これでは他サ五ないし他カ五連用形のイ音便という解釈になっちゃうんじゃないのかな。
君:他サ五ないし他カ五では、皆様に分かりにくいわよ。
私:他カ五「いいなく」と言う動詞があるとすれば、過去形は「いいないた」になる。他サ五「いいなす」と言う動詞があるとすれば、過去形は「いいなした」、そしてそのイ音便は「いいないた」になる。
君:然しながら、「いいなく・いいなす」共に実際には存在しない動詞なので、つまりは「いいなる」の過去形が「いいないた」になるのは、誤れる回帰、過剰修正といったところね。
私:というか、「いいなる」は実際には過去表現の連用形と現在表現の終止形の二つしかないので、これは五段活用ではなく、二段動詞と考えれば合点がいくね。何れにせよ、飛騨方言の尊敬表現というのは少し変わっている。
君:あら、それをお使いになるお爺ちゃん達やお婆ちゃん達に失礼よ。大変に心のこもった素敵な言い方じゃないの。ほほほ

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