大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

有坂・池上法則

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私:今夜はせめてこのくらいは知っておきましょうというお話。
君:有坂秀世と池上禎造ね。
私:キーワードが二つあって、上代特殊仮名遣いと母音調和
君:つまりは上代特殊仮名遣いを発見した橋本進吉に続けという事で、その母音調和について更なる発見をなさった偉い学者様という事ね。
私:そういう事。更なる発見については割愛させていただく。そういう事は私のような凡人があれこれ論じる事ではない。橋本進吉先生は東京帝国大学の教授、昭和18年に定年退官、有坂先生は服部四郎先生と同級生で、同年に卒業、有坂先生は橋本先生が定年退官時に文学博士を授与された。服部先生も同年に博士号、ただしモンゴル語についての論文にてスケールがやや大きい。しかも服部先生は橋本教室を受け継いだ時枝誠記教授の下で助教授、つまりは同級生の有坂先生より位は上。有坂先生は闘病生活の末に43歳で早世なさったという悲劇のヒーロー。実は橋本先生に続く次期教授候補。彼が元気であったら時枝教室は無かった。戦前あたりのドタバタとした東京帝大の国語学教室の裏話。
君:お医者様が白い巨塔の読み過ぎね。そういうお話は国語学とも、方言学とも関係ない事よ。
私:いや、すまない。先ほど来、皆様のご略歴を調べていたら、随分と人間臭い世界じゃないか。まるで映画のようだ。服部先生が財前ってところだな。有坂先生は里見だ。
君:東京帝大はいいから、池上禎造先生について簡単にお書きしてね。
私:うん。このお方は京都帝国大学。なんと有坂先生の論文と池上先生の論文はほぼ同時期にほぼ同一の内容の論文、という事なんだよ。従って両先生に敬意を払って「有坂・池上法則」と言うんだ。
君:アイウエオ順ではないわよね。
私:勿論だね。池上先生は戦後に京大教授におなりで、長生きなさったので、早世なさった有坂先生への墓碑銘的な意味で、有坂・池上法則だ。逆は有り得ない。
君:人は死して名を遺す、と言うわね。
私:僕も若い頃は論文を少しばかり書いたが、僕が死んでもこの世には何も残らない。が然し、上代特殊仮名遣いについてあれこれ調べものを開始して、こんなに面白い世界があったのかという事に気づく事が出来て嬉しい。だから今夜はこれを書いた。夕べに死すとも可なり。蛇足ながら最近にちょいと書いてみたのが上代特殊仮名遣い及び近世琉球方言音韻からみた上代における上二段動詞「ひる干」存在の証左(ザ・飛騨弁フォーラム)
君:長い表題なので内容は丸わかりは良いとして、卒論レベルというところかしら。ほほほ

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