大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

だっしゃもないとだっしゃん

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表題ですが、究極の飛騨方言とでもいうべき表現ですので、飛騨以外の方には意味はさっぱりわからないでしょう。 だっしゃもない、という飛騨方言ですが、散らかっている、という意味の言い回しです。 だっしゃん、という飛騨方言ですが、だめだ、という意味の言い回しです。飛騨方言・だしかん、が更に訛った言葉です。 つまり表題は、散らかっているとだめだ、言い換えれば整理整頓が大切だ、という意味になります。

両語については、佐七辞書のだっしゃもないだしかんに 詳述していますが、共に、らち、という言葉から発生した言葉です。
    らちもない>らっしもない>らっしもない>だっしゃもない
    らちがあかぬ>らちゃあかん>らちゃかん>らちかん>だちかん>だしかん>だっしゃん
つまりは、だっしゃもないとだっしゃんという飛騨方言は、散らかっているとだめだ、という意味ではあるにせよ、 元々の意味を考えると、らちもないとらちがあかない、という事になります。 つまりは、例えば、おもしくないとおもしろみがない、あるいは、勝たないと勝つ事ができない、と同じような事を言っているわけです。 おもしろいですねえ。

また、方言は常に進化しますので、例えば今後、だっしゃもない、は何に変化するのでしょう。 私は、だっしゃない、に変化するのでは、と推察します。 根拠がひとつありますが、実は既に、だっしゃむない、というネット方言情報があるのです。 つまりは、〜も、〜む、という語尾は変化しやすい、いわば脆弱、消滅しやすいというわけです。 つまり、〜もない、〜むない、という語尾は、〜ない、に変化するに違いありません。

ただし、"ない"という部分は今後も絶対に変化しないでしょう。 なにせ"らちもない"時代から今日まで、一切変化しなかった部分ですから。

そして更に、だっしゃない、は、だしゃない、に変化する可能性があります。 論より証拠、皆さん自ら、だっしゃない、だしゃない、と数回唱えてみてください。

さて今後、だっしゃん、は何に変化するのでしょう。 私は、だしゃん、に変化するのでは、と推察します。 現に、"だめじゃないか"という意味で、だしかんながい、という事もあり、だっしゃんながい、という事もありますが、 だっしゃんながい、を早口で話すと、だしゃんながい、になり、これでも飛騨方言のセンスに合うのです。

従って表題は、将来、更に変化して、"だしゃないとだしゃん"に変化するのではというのが私なりの考えです。

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