大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
何故、英語においても松には方言が無いのか |
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私:昨日は和語「まつ松」には方言が無く、全国的にたった一つの呼び方、つまりは方言が存在しない事を書いた。(愛しの君へ捧ぐ)何故、松には方言が無いのか 君:「蝸牛考」で著者・柳田國男はそれを目的物、つまりは松そのものによるとしたのね。 私:その通り。松に方言が無いのは松という樹木そのものの性質、そしてカタツムリに沢山の方言があるのはカタツムリという虫そのものの性質である、と説く。だが、ちょっと違うのじゃないかというのが僕の意見だ。松に方言が無いのは2拍だから、そしてカタツムリに方言が多いのは5拍だから、という要素を無視してはいけない。 君:つまりは方言ができやすい絶対的条件があって、それは拍数が多いという事。ただしそれでは不十分で、更に★小動物・遊び★マイナスイメージを持つ人間・程度を表す副詞★全国に種類が多い栽培植物・草花★親族名称・人称代名詞という条件が加わると方言量は爆発的に多くなる。拍数が多い事と語そのもののモダリティ、この二つの条件が重なると方言量が大きくなる、とあなたはいいたいのね。 私:その通り。そして今日は英語のお話にこの考えを敷衍してみよう。 君:ははあ、わかったわ。あなたは松の英語 pine tree にどれだけの方言があるか調べたところ,やはり方言が無かったので和語・松と英語 pine tree で気づいた事があるのよね。 私:その前に、大事な事がひとつある。日本語は日本語、英語は英語という事。だから日本語では拍について考えたが、便宜的に英語では syllable について考えてみたという事だ。以下、便宜的に syllable を仮名表記でシラブルと表記するものとする。ところでシラブルの音韻数は幾つだい。 君:4よ。 私:それは外来語の「シラブル」という仮名表記の音韻だ。正しくは3。 cf syl-la-ble 君:数え方は「シル」「ラ」「ブル」のような感じね。 私:その通り。子音+母音で一音節である事は日本語も英語も変わらない。英語では silent vowel の表記があっても、独立した一音節にはならない。子音で終わる場合、その子音は直前の母音に含まれ、独立して一音節とはならない。連母音は日本語では二拍だが、英語では one syllable。 君:ほほほ、つまりは pine でワンシラブル、 tree でワンシラブル、つまりは pine tree はワンシラブルのワードが二個という意味なのよね。 私:そう、完全正解だ。ワンシラブル、つまりは一音節の言葉は方言を形成しようがない。従って英語の松 pine tree には方言が無い。 君:つまりは方言量の多少は言語を問わず音節数の問題と考えられなくもない、という意味ね。 私:まあ、そんなところだ。ついでにカタツムリでやってみよう。 君:英語では確か・・・ snail ね。 私:その通り、これを仮名発音すると「スネイル」という事で四拍になってしまうが、英語の発音はワンシラブルだ。ただし、日本であれ、英語圏であれ、カタツムリが子供の大切な遊び相手である事には違いが無い。だから日本の子供は5拍のカタツムリに240個の方言名を与えた。ところが英語圏の子供達はスネイルというワンシラブルに数個の方言名を与えた。これが英語でカタツムリの方言があるにはあるが、日本に比べたら随分、少ない一番の理由。 君:なるほどね。でも日本でも方言は激減しているわよね。明治からの標準語教育と戦後のテレビ等のマスコミの影響、この二つよね。 私:同感だ。だから英米では既にカタツムリの方言は無くなっている。大雑把に言うと、日本語は子音+母音の繰り返しで語を形成し、ひとつの単語で方言ができやすい言語。その一方、英語は日本語に比し子音の数が天文学的数字で複雑極まりなく、これが多くの語を作る原動力となり、シラブルが少なくても沢山の単語が形成できる。必然的に英語は日本語ほどには方言が生じにくい言語。 君:なるほどね。方言の国際比較も面白いわね。 私:もうすぐ不惑の歳になる。僕にそんな暇はない。私より若い言語学者の誰かが、この記事に気づいて立派に仕事に仕上げてくれるだろう。 君:ところで、ふふふ、貴方が何の話題で締めくくろうとしているか、わかるわよ。メリー・ポピンズでしょ。Supercalifragilisticexpialidocious と言う形容詞。 私:ははは、その通り。コクニー英語で、世界で一、二を争う長い単語。そういう単語は沢山の方言が出来てしまうだろうね。これも既出だし、僕の鉄板ネタになっていて、つまりは僕の前頭葉は既に動脈硬化。若い頃は次から次へと、アイデアが出てくる脳みそだったのに。 君:Su-per-cal-ifr-ag-il-ist-ic-exp-ial-id-oc-ious。この形容詞ってサーティーン・シラブルズだわよ。ほほほ おまけ:歌に出てくる意味不明の長い形容詞ですが、要素に分解して、どんな意味なのか、考えてみましょう。多分、こんな感じですが・・つまりは・・シャカシャカちゃきちゃきして几帳面そうに見えるが実は案外、おっとりして、ものごしわやらかで、話のわかる大人の感じの・・若し間違っていたら、ごめんね。 Super- = とても cali- = 計算高い、e.g., caluculus = 代数, calibration = ゼロ点補正 fragilistic- = 繊細でしなやかで expiali- = 経験上は、経験豊富な docious = ものごしやわらかな e.g., docile = 静かな、落ち着いた |
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