大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 歴史 |
2007 敬語五分類 |
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私:いやあ、びっくりした。長生きはするもんだね。 君:ほほほ、敬語が三分類でなくなった事ね。 私:ああ、その通り。つい先ほど知った。事件は平成19年(2007)に起きた。 君:事件は大げさね。 私:当時だが、我武者羅に深夜まで働いていたからね。尤も、当時それでもこの方言サイトに記事を書いていた。若かった、という事だったんだ。 君:そんな事いいから皆様にご説明をお願いね。 私:ほいきた。文化審議会答申・敬語の指針の通りだが、従来の尊敬語・謙譲語・丁寧語を改め五分類になった。謙譲語が謙譲語T・謙譲語Uに分かれ、新たに丁寧語から一部の語彙が分離して美化語が追加された。同指針の第2章の1「方言の中の敬語の多様性」の記載もあるので、当サイトの内容もこの答申に沿って書き直しが必要という事なのだろう。やれやれ 君:一日でも長生きすると何かが得られる。昨日の自分ではない今日の自分を感ずる事ができる。素敵な事よ。 私:同感。前置きはそれくらいにして、僕のような初等中等教育を1960-72まで受けて大学生になり教養部では一部の文系科目しか選択しなかった理系頭にはこの五分類は新鮮に感ずる。まずは謙譲語が二分された事だが、謙譲語Tは行為の向かう相手への敬語の事で、謙譲語Uは話や文章の相手への敬語。鑑別点としては、★Tは向かう先が「高めるのにふさわしい人物」でなければならないが、Uはそうでなくてもいい。つまりは「先生の所に伺います」は可だが、「コンビニに伺います」は不可。★Tは「〜ます」が無くてもいいが、Uは「〜ます」が必要。「お母さん、僕、今から先生の所に伺うよ」「コンビニに参ります」は可だが「コンビニに参るよ」は不可。謙譲語Tは別名が客体尊称、Uは別名が丁重語。古語では「きこゆ」他ヤ下二・「まゐる」自ラ四・「いたす」他サ四、が謙譲語T、「たまふ」他ハ下二が謙譲語U。 君:ほほほ、誰でも無意識に使っているわね。 私:正にその通り。謙譲語Tが狭義の意味での謙譲語という事だね。 君:そうよ。続いては丁寧語の二分化問題ね。 私:うん。丁寧語から分かれて美化語が生まれた。「お酒」「お料理」等、物事を美化する言葉。狭義の敬語ではないが、敬語に類するものという事。ここで問題となるのが尊敬語と美化語の違い。「お体」は自分に使えず、これは尊敬語。その一方、「僕のおなか」という事で「おなか」は自分自身に使えて美化語であり尊敬語ではない。「お金」等々、「お」の接頭語をつけるものと「ご飯」のように「ご」の接頭語が付くものがある。蛇足ながら結納品での当て字「時計ではなく登慶」とか、元々の荒城(あらき)改め瑞祥地名「吉城(よしき)」なども広義では美化語だろうね。僕は患者様には必ず「おててを見せてください」「アルコールでお清めしてください。私もお清めしています。」など言う。美化語は使えるだけ、目いっぱい使って損な事はひとつもない。古語では「はべり侍」自ラ変・「さうらふ候」自ハ四(自動詞ハ行四段)、が丁寧語。古語では「お御」は平安時代は「おぶつみやう御物名」「おまし御座」「おむろ御室」「おもの御膳」「おもと御許」等、マ行・バ行の語彙しか無い。ところが鎌倉以降は「おとぎ御伽」等、数が一気に増える。敬語の歴史も結構おもしろいね。 君:美化語は飛騨方言にもあるしかしら。 私:ああ、あるとも。漬物は女房詞(ことば)で「くもじ」だが「おくもじ」というね。それに飛騨方言では赤飯も「おこわ」という事が多いんじゃないかな。 君:なんでもかんでも「お・ご」をつければ良いってもんじゃないわね。 私:お酒は合格、おビール・おウィスキーはだめ。お焼酎もだめだな。おどぶろく、完全にアウト。おつまみ、合格。僕にはさっぱり規則がわからない。こんなサイトもある。おの付く文字。 君:お暇なお方のお勉強用サイトね。おほほ |
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