大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 歴史 |
上代東国方言 |
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私:当サイトの運営で拘りのようなものが二つあり、必ず方言に関係する記事を書く事と一万頁を目標に気長に続ける事。 君:上代といえば奈良時代、東国方言と言えば東歌、防人歌ね。 私:その通り。早速に文法的特徴を列挙しよう。★動詞命令形の語尾が「ろ」、★四段動詞連体形の語尾にオ段の音、★形容詞連体形の語尾に「(し)け」、★打消しの助動詞に「なふ」。 君:現代東京語に通じるわね。動詞命令形「つけよ・つけろ」、打消しの助動詞「逢はぬ・逢わない」。 私:ああ。それに音韻の面でも。アとイ、アとウ、アとエ、アとオ、エとオ、等の母音間の揺れ。 君:これも東京語にみられるわね。「おまえ・おめえ」とか。 私:そう,共通語と言ってもよい、東京語にさりげなく上代東国方言が生きているのでは、と考えたい。また、東国方言には助動詞「めり」、終助詞「ばや・かな」などか見られ、当時の中央語に似通った点も多々見られるし、基本的な和語については和語と東国方言で語彙の差はほとんど見られないね。中央の「めり」は例えば「落とすめえ」の江戸語かな。 君:ほほほ、違うわよ。打消し「まじ」の口語が「まい」。「めり・まじ」は終止形に接続で一致するけれど別の言葉ね。それに「まじ」は室町から。明らかに時代が異なるわね。 私:なるほど。 君:現代東京語に生きている上代東国方言という点で、はっきりと判りやすいのは、動詞命令形の語尾「ろ」と打消しの助動詞「なふ」、この二点という事かしら。 私:うん。そして東大寺諷誦文稿が気になるね。 君:その通りね。当時、東国方言は都の人々には大変に聞きづらく、小鳥のさえずりのようであったとの評価ね。 私:東歌の序詞・枕詞の一考察に詳しいが、小鳥を東国方言語彙の枕詞にする例がある。枕詞として動物は鳥しか出てこない。自虐的、というかユーモラス。鹿の歌が一首。おっ、姿見えねど草むらに小鹿か・片や我が家の門の中で子供が泣く・ああ出張したくない・子供と離れたくない。もう一つ、東歌にはエッチな歌が多い。おもろいよ。 君:ほほほ、やめて。ところで、土田知雄? 私:土田知雄。国文学者。 君:茨城県ご出身、なるほどね。 cf 加藤静雄「万葉集東歌の世界」塙新書 |
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