飛騨方言・おねる、ですが、背負うという意味の下一他動詞です。
飛騨以外からのネット情報が皆無に近く、俚言ではないかと思います。
古語辞典にも国語辞典にもなく、語源は不明といわざるを得ません。
活用は、ね、ね、ねる、ねる、ぬれ、ねよ、です。
ランドセルおねんとだしかん(=ランドセルを背負わないとだめだ)、
ランドセルおねて登校する、
ランドセルおねるぞ(=ランドセルを背負うぞ)、
ランドセルおねる時間がない(=ランドセルを背負う時間が無い)、
ランドセルおねりゃえんや(=ランドセルを背負えばいいのだ)
ランドセルおねよ(=ランドセルを背負いなさい)
注目すべきは、活用によるアクセントの移動です。
なんと、おねて、の場合のみですが、お、にアクセントがあるのです。他の場合は、ね、にアクセントがあります。
また注目すべきは、おぬれば、は、おねりゃ、と音便化するのが普通である事、命令形は、必ず、文語・古語表現で、よ、になる事です。
語源は古語動詞・負ふ+古語動詞・つくねる(つくぬ) ではないかと考えます。
負ふ、はまさに背中に乗せて持つ、背負う、という意味です。つくぬ、はひとまとめにする、という意味です。
つまりは、おひつくねる、とは背負ってひとまとめにする、という意味で、飛騨方言・おねる、と意味が完全に一致します。
活用によりアクセントが移動する点も、おねる、が複合動詞でありうる事の証左です。
またいかに飛騨が山国とて、山の尾根が全く関係ないことはいわずもがな。
さて、おねる、と同根と考えられる飛騨方言動詞に、かつねるがあります。
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