なまはんじゃく、の同意語・はんちく(半ちく)から来ている飛騨俚言形容詞です。
半ちくとは、中途半端、と言う意味です。
従って、はんちくたい、のもともとの意味は、中途半端なために不快に思うことをあらわします。
名詞・はんちくを形容詞化するのに、い、を足して、はんちくい、とはならなかったようです。
飛騨俚言形容詞・はんちくたい、は、歯がゆい、いらいらする、等のもともとの意味が転じて、
いきどおる、くやしい、など、腹が立つ事全般の意味でも用いられるようになり、
中途半端の意味はむしろなくなってしまいました。
あるいは、全面的にいきどおる、くやしくてしかたない、などの意味で用いられる事も多いようです。
活用ですが、はんちくたくなる、は、はんちくとうなる、とウ音便化し、
また、はんちくとなる(=悔しくなる)、と語を詰める事も多く、
また、はんちくとなってまう(=悔しくなってしまう)、と"てまう"表現になる事も多いようです。
また、はんちくたい、は動詞・はんちくたがる、に派生していますが、はんちくたくなる、の意味です。
はんちくたい、は発音がさらに、はんちくてえ、と変化する事もあります。
はんちくたい(=くやしい)、の同意語には、おぞい(=おぞし(悍し)、ひどい)、おぞくたい(同)、が、あります。
また、はんちくたい、の反対語は、うたてい(=ありがたい、かたじけない)、です。
飛騨方言では、うたてい、が、古語・うたてし、の正反対の意味で用いられます。
動詞・はんちくたがる、の同意語には、飛騨方言動詞・ごがわく(=業がわく)、同じく、ごわかす(=業をわかす)、
の二つがあります。
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