キーワード・ひっくりかえしま、でネット検索しますと、
相当数ヒットしますが例外なく、ひっくりかえしましょ(う)、等々の
文例であり、飛騨方言にあります名詞・"ひっくりかえしま"の用法は
皆無に近いようです。
ただ単に、ひっくりかやし・ひっくりかえし、と言えば済むのに、
何故、〜かやしま・〜かえしま、なのでしょうか。
実は古語辞典に用例があり、古語に由来する言葉のようです。広辞苑から、
しま(接尾語) 1. はじめ。早々。浮世風呂"正月〜から"。
2.(動詞の連用形について)その折、しがけを表す。
志不可起"帰りがけいふやうなるを帰り〜とも帰りしなともいふ"
別稿・時の表現、じぶん/しな、の比較検討を
ご参考までに。結局は表題の言い回しの語源は接尾語・しな、に行き着くようです。
どうやら、語の変遷は
ひっくりかえししな>ひっくりかえししま>ひっくりかえしま
ひっくりかやししな>ひっくりやえししま>ひっくりかやしま
と言う事のようです。つまりは当初はひっくり返ったその瞬間、という
意味でもちいられていた時をあらわす名詞であったものが、
既にひっくり返っている状態を示す名詞に変化してしまった
という事のようです。
さらにはこの名詞が出来てから、"ひっくり"の
部分を省略して、かやしま・かえしま
と言う様になっています。
しゃみしゃっきり。
|